NIKON D800発表。之買うべきか。

 ニコンのハイアマチュア向けデジタル一眼レフである、NIKON D800が2月7日に発表された。欲しかったものとは多少違っていたので、スルーかなと思っていたが、サンプル見たら予想以上に良く、気付いたら予約していた。まぁ発売まで6週間以上あるし、予約してから本当に買うべきかはゆっくり考えれば良いのだ。しかし、発表当日の予約だったのに、既に二桁番目との事である。桜の季節に間に合わすには、予約必至となりそうだ。
 D800の型番上一つ前となるD700というカメラを、僕が3年以上前に発売日ゲットで買った事はブログにも以前書いたが、このD700、大変重いカメラであったけれども、失敗の許されない結婚式の写真とか、シビアな状況でのAFの速さや正確性、連射性能などは本当に頼りになった。

○2008-07-01 D700 by NIKON 発表!

 世には色々とトレードオフがあって、カメラの世界では重さと性能は概ねその関係にある。重さにはやっぱり理由があるのである。また、画素数と高感度にもトレードオフがある。画素数が多ければ、それだけ1画素当たりのセンサー面積が小さくなり、小さいセンサーは感度を高めるとノイズが増え、結果的に暗い所など、感度が必要な局面での画質は悪くなる。D700は35mmフィルムと同じ、36mm×24mm角、面積で言えば864平方mmのセンサーを持っている一方、普通のコンパクトデジカメは大体29平方mm位なので、同じ画素数ならコンパクト機に対して、1画素あたり約30倍の面積をD700は有していたし、実際D700は1200万画素だったから、コンパクト機の画素数と同程度であった。この1画素あたりの圧倒的面積差が一眼レフの画質の優位性を産むのである。同じ2LDKでも部屋辺りの面積が30倍なら凄い家になる、みたいなもんか。
 一方、このD800は一気に画素数を3倍にして、3600万画素のセンサーを積み、35mmフィルムと同じセンサーサイズの「フルサイズ」と呼ばれるカメラでは最も多画素なカメラになる。世界初のセンサーという事だ。ただ、センサーサイズは前と変わらないから、1画素あたりの面積はD700の1/3になる。この3年間で、多少は単位面積当たりのセンサー性能は改善しているだろうが、これだけ面積が変わると高感度の性能は下がらざるを得ず、これが多画素化のメリットと比べてどうか、というのがD700と比べた時のD800の評価となる。
 僕はあんまり多画素のメリットを感じていない一方で、高感度が必要な暗い室内で写真撮ることは依然として多いので、D700のままでもいいかなと発表当初は思ったが、冒頭の通り、サンプル見てたら思った以上に良くて、これなら欲しいかなとあっさり転向してしまった。

○D800サンプル画像 /ニコンイメージング

この上から2枚目のポートレートとか、ほんと肌の質感がしっかり出てて美しい。これまでのニコンの絵では無い印象すら受けた。多分だが、この世界初のセンサーの素性がいい事、EXPEED3と呼ばれる画像処理技術が向上した事に加えて、ローパスフィルタと呼ばれるセンサーの前のデバイスも性能も向上したのかもしれない。この辺りは、単にスペック表を見ただけでは判らない、実際の良し悪しみたいな部分である。
 また、ここまで良い絵だと、ニコンの中ではプロ向けの機種はD4というスポーツ/報道系の機種と、D3Xというポートレート/風景系の多画素機と2つあるが、後者は不要になって、D800と統合という事になるのでは無いかと思った。プロ向けのデカくて重いボディがもたらす堅牢性や1秒間に10コマを超える連射とかが必要なのは、やはりスポーツ・報道用途で、ポートレートや風景にはもう少しユルくてもいい筈だからである。
 さて、絵は大変素晴らしいとしても単なるアマチュアが27万円のカメラを買うべきか。純正二大メーカーの良さは、機材が中古市場でそれなりの値段で売れる事で、手持ちのD700D90、あと24-120/4G購入後出番の無い24-85mm/2.8-4Dを処分すると、大体20万円位は回収できる。D90は本来D7000の下取り、レンズも同様と考えてもD700は14万位では売れそうだから、正味は7〜13万円の出費という事ではあるが・・・。やっぱり多少迷うのはD700は現行の非プロ向け機では唯一と言ってもいい、少画素で高感度が良いマシンだから、ディスコン後に伝説と化し、手放して後悔するパターンにハマりそうな事である。ただ、フルサイズ機を2つ持つ程写真に没入している訳でも無いし(F100も有るから3つだ)、防湿庫も余裕無いし、という現実もそこにある。あともう一つ、余り画素数が多くなかったD700は、古いレンズでも性能的に間に合っていた。D700はボディはそこそこしたが、レンズへの投資を強いないお財布にやさしいカメラだったのだ。D800となると、結構古いレンズだとアラが出てきそうな雰囲気はある。17-35mm/2.8とかが入れ換え必至になると予定外の大出費だ。14-24mmに入れ換えた日にはプラス10万コースになる。はてさて、こうウダウダと悩みながら3月22日の発売日を待つ事になりそうである。しかし、こんなポートレート系カメラ買っちゃって、果たしてその先には、女の子を撮るシーンが豊富な、リア充感の増した生活が僕を待っているのだろうか。

  • なんか、なで肩になっちまった。α900にしろ、OM-Dにしろ、コンパクトのIXY1にしろ、カメラは角張ってる方が格好いいと思うのだが。