元PCヲタクとして

僕は、エレベーターだの、スキンケアだの、地理だの、ドレスシューズだの、色々なものを細かく偏愛しており、女性に生まれたら絶対読んでる雑誌はVOCEでは無いかと思うのだが、10年前の学生時代は間違いなく、その興味の対象の一つがPCだった。
まだまだPCも黎明期で、今の様にIT技術に追い立てられる様に仕事することも無く、なにやらワクワクするハコだった時代の話である。最初に手に入れたインテルチップのマシンは、中学校の時に買ってもらったi80286搭載のEPSON PC-286UXだったが、そこから一気に3世代飛んで、次に買ったインテルチップマシンは、GATEWAY2000 P5-90という初代Pentium機であった。大学1年、1994年の事である。当然ながらOSは、PC-DOS7.0で、まだOperating SystemというよりもOperating Environmentという方が物事を正しく表していた、Windows3.1を動かしていた。
このPentiumチップは、バグ付で騒ぎになった有名なやつだったが、ヘソ曲がりの僕は「このバグは、自分の使い方なら遭遇する可能性は、ラクダが針の穴を通る確率よりも低い」と豪語して、結局交換しなかった。僕はその後、英国人ばりの頑固さと守旧っぷりを発揮して、頑として買い換えず、中身をちょいちょいと替えながら、現在に至るまで使い続けてきたのである。もう12年が経過しており、ちょっとしたクラシックカーの趣である。
そのマシンが、先週の終わり位から、ウンとかスンとかしか言わない様になり、諦めて、これを機に近代化しようと思い、主要パーツを週末買ってきて組み込んでみたら、今度はウンともスンとも言わなくなってしまった。困ったものである。

[KODAK V570/39mm F3.9]

  • エアコンの様に巨大な古い筐体。カバー開けて、トンテンカンとやってみたものの。

昔なら、こういうトラブルシューティングを嬉々としてやっていた気もするが、ネットスケープが上場した位から徐々にPCに興味を失って、「まぁ動けば」という感じになってきた僕としては、こういうtime-wastingなトラブルは相当腹立たしい。それならそうで、さくっとメーカー製マシンに買い換えればいいのに、自分の中の不可思議な思いから、ついつい中身の交換だけで延命させようとトライしてしまう。
あと、2-3年に一度しかPCのカバーを開けて、中身を見たりしないので、自分のPC製作技術が既に時代遅れで、コネクタの形とかがチンプンカンプンなのも時間が掛かった一因である。結局、よくある接触不良で、全部挿し直ししたら復活したのだが。こういう原因がまた、一番腹立たしい。
しかし、一旦復活してみると、CORE 2 DUOなる最新のCPUを中心にしたPCはえらい速い。見慣れたWindows XPが飛ぶ様に動く。かと言って、文章を書くスピードが飛ぶ様になるという事にはならないのが、サポートデバイスの悲しさである。結局、昔はPCそのものに興味が有って、それが目的だったので、PCの性能向上とかに一々エキサイトしていたのだが、いつしか画像処理をしたり、ビデオ作ったり、スプレッドシートを広げたり、POPをデザインしたり等、違う本源的な目標が主になって、PCはその手段に過ぎなくなったので、PCの性能そのものはケアしなくなったのだろう。
もしかすると、10年20年したら、サポートデバイスではなく、人体の機能そのものを上げる様な生体技術が発明されて、攻殻機動隊みたいなテイストの時代になる事も十分考えられるが、そうなったらまた、パーツ選びなんていうtime-wastingな作業に真剣味がまた増すのかも知れない。
気持ち悪い話になった所で、もしかしたら、PCパーツに詳しい方が本稿を読まれるかも知れないという事と、一応先週末に出たばかりのCORE 2 DUOの「人柱」として報告はしておくべきだろうという事で、パーツ構成はヲタクっぽく書き出しておこう。たぶん、人生最初で最後のマイマシンのディスクロージャーだと思う。

ゲームをしなければ、こんなスペックのグラフィックボードは要りませんとツクモの店員さんに言われている。これは一応自作するものとしての見栄みたいなもんである。あと、メモリーのメーカーがUMAXと聞いて、

  • 「UMAX?あの安いスキャナ作ってるトコですか?」

と思わずその店員さんに聞いたら、

  • 「先史時代の話ですね」

とバッサリ。むかーし、DOS/V Magazine(DOS/Vという概念は消滅しましたが、まだ有るのでしょうか)という雑誌の巻末の分厚い広告欄にモノクロでUMAXのスキャナが載っていたのだった。当時は、キャノンやエプソンのスキャナのお値段が今ほど手軽じゃ無かったので、UMAXのカクカクしたアメリカちっくなプロダクトデザインと安さは光っていたのである。

さて、めでたしめでたし、と思いきや後日談。

○8/11 D80予約する。