麻布十番・エドヤ

 いわゆる洋食屋である。イタリアンとかフレンチとか、洋食が更に細かいセグメントに分かれる前から存在する老舗だ。1954年から連綿と暖簾が続く。たまたま開店の17時間際に前を通ったので、これ幸いとカウンターでゴハンを食べた。開店と同時に6割の席が埋まり、17:30には店の前には長蛇の列、という人気店である。
 ここは、オムライスが有名で、関西にも幾つかある、比喩的な表現としての「デミグラスだけでライスが食べれる」レベルの味を提供する。ただ、このオムライスは日祝はランチのみということで、初めて他の料理にチャレンジすることになった。目に付いたものにビビビと来て、速攻で注文する。

  • 牡蠣のベーコン巻きソテー

名前で負けました。
味の方は写真を見てもらった方が良かろう。

[SHARP 904SH 35mm F2.8]
 ぷりぷりした牡蠣に、こってりと脂の乗ったベーコンを甘い玉葱と共に串焼きにしているのだが、もう絶品である。食べると口の中で噴き出す熱い肉汁と牡蠣汁(?)。思わず背筋が伸びて、恍惚となる瞬間だ。一昨年の冬にベトナムのフエという日本の京都にあたる美食の古都で、ボイルして冷した海老をニラと共に水で戻したライスペーパーに包み、それを揚げたて熱々のチキンカツと一緒に串焼きで食べる、なんていう凄まじいマリアージュの一品の旨さに悶絶したことがあったが、同じレベルの衝撃を日本で受けるとは。組み合わせ串焼き甲子園は、エドヤとフエの屋台、両者優勝てな感じである。
 サラダ、ライスと合わせて3,000円。いわゆる洋食のカテゴリーのお値段では無いが、味と比べたら、むしろ安いと思われる。カップルで入るべき、小じゃれて旨い店は麻布十番は山の様に有るが、ふらっと一人で入れて、しかもとんでもなく旨いなんて店は少ない。もっと増えると独身生活のクオリティ・オブ・ライフはグンと上がるのに。