白金・正寿司

 正直、このカテゴリは、正寿司のことを念頭において作ったようなものである。昔、このお店のごく近くに住んでいたことがあって、タンザニアから帰ってきた時に、「とにかく日本料理!」と思って駆け込んだのがきっかけだったが、以来7年近く通い詰めている。両親が上京してきた時も、ここに連れて行った。
 7年行っているのに、写真は殆ど撮っていない。撮っている客を見たことも無い気がする。一見率が低いせいだろうか。座って、お任せを頼んで、食べて飲んで喋って帰る。その繰り返しである。一見が少ないから食べログにもロクに書かれていない。食べログの網羅性は高いが、こういう店は漏れていることがある。
 絶対値の美味しさでは、ここをちょこっと上回る店は勿論ある。でも、そういった所は接待とかで無いとそうそう行けない店だったりする訳で、自腹でなんとか行ける、お酒飲んで腹一杯食べて諭吉1枚お釣り2枚みたいなお値段で、ここを上回るお店はまだ見つかっていない。うっかりすると、その辺のチェーン店で食べても、お寿司というのは5,000円近くになってしまう食べ物だから、こういうリーズナブルなお店は本当に貴重である。

[SONY Cybershot W300 /35mm F2.8]

  • その美味しさの1%も表現できていないのだが、これ位しか写真がありまへんでした。カウンターだと余りこういう風には出てこないけど、暇な時間帯だと最初からどっさり握ってくれます。

 地元白金の常連客が多いので、20時とかの忙しい時間帯はちょっとほっとかれるかもしれない。空いてきた22時過ぎ位から、2時間位ゆっくりしつつ、大将と女将さんとダラダラ話しながら食べるのが、一番価値が出るお店である。一番最初に行った時は、夜遅くまで塩の話で盛り上り、それで顔を覚えて貰った覚えがする。同じパターンが麻布十番の2つ星、「かどわき」で、ここは凄くいい海苔だなと、出てきた海苔に唸っていたら、大森と有明の海苔の違いで盛り上って、顔を覚えて貰った。それで、正寿司は何が旨いかというと、時々によって様々な旬の素材がそれぞれ旨いとしか言いようが無いので、お任せで今美味しいものを出して貰うのが吉。つまみ数品、その後握りと言えば、適当に旨いものが出てくる。旬のものを出す店なので、春夏より秋冬の方が真価が出るが、この季節に行っても、「ああ、こういうものが今旬なのね、」という驚きは常にある。ちなみに、大将は以前伊豆の某有名旅館に居らっしゃったとのこと。
 正寿司の最大の欠点は、ふらっと他の寿司屋に行く度に、ここで食べるなら正寿司で食べれば良かったなと、正寿司基準が出来てしまって、いまいち満足いく寿司ライフを過ごせなくなることである。ぷらっと出掛けて、ご飯食べたい時、前は道行く人を掴まえて聞いていたが、最近はGPSのあるiPhone食べログアプリがあって、これが極めて便利なので、このアプリで現在位置に近い点数上位店を検索する様になった。これでヒットする店の結構な割合がお寿司屋だったりするのだが、正寿司基準のせいで、ついつい他のカテゴリを選んでしまう。
 絶賛してみたが、on tapのビールが無いのが唯一の欠点で、これは実に惜しい。ただ、アンチビール派の人は白金三人衆というローカル焼酎があるので、これを頼んでみては?混んでる時間帯に行けば、我こそはその三人衆の一人なり、というおじさんが四人位現れるであろう。

[SONY Cybershot W300 /35mm F2.8]

  • 塩も結晶の大きさで何種類かあったり、唐辛子も三種類あったり。ちなみに真ん中は激辛。