トンローの屋台街

 暑くなってきたのでタイ料理に溺れたくなった。思い出す味はトンローの屋台街である。BTSのトンロー駅(Thong Lo)のほど近く、スクンビット・ソイ38にある。このソイの入り口が夕方になると屋台街になるのである。手持ちの「地球の歩き方」や「Lonely Planet」には特に載っていなかったが、まぁメジャーどころだと思う。メジャーなだけあって、ここに集う屋台の味はレベルが高い。
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[Panasonic LUMIX LX3 /44mm F2.5]

  • これが屋台街の全景。

 まずはさらっと麺をすする。薄味の中国系の麺だ。僕は不味かったけれども麻布十番のヌードルズの存在を惜しむ麺オタである。日本のラーメンも好きだけど、この中華風のあっさり麺も好きだ。中国・東南アジアを旅していて、小腹が減るとつい求めてしまう。量が少ないのも良い。日本でも、たまーに猛烈に食べたくなるのだが、こういう鶏がらベースの薄味、細麺、かつおやつレベルの量という、モンスーン・アジアの大都市なら、どこに居ても5分以内にありつける麺を出す店を日本では未だに見つけられていない。これだけ中国人が住んでいるのだから、あってもいいんだけど。ふとした住宅街の路地裏とかにあるのかしらん。
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[Panasonic LUMIX LX3 /60mm F2.8]

  • 麺もいいが、具もやばい。

 トンローでは、屋台街入ってすぐ右にある麺の店が、この麺の有名店らしい。屋台プレミアムが乗っているにせよ、非常に旨い。洗練された味である。近くにはタイ風焼きそば、パッタイの店もあって、こちらも旨いらしい。麺のはしごも乙だろう。
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[Panasonic LUMIX LX3 /60mm F2.8]

  • ラーメン茹でるのにこんなに真剣なのに、この国のパスタが全般にゆるいのは、何故だろう。

 あと、僕が好きなのは、カウニヤオ・マンムアン。もち米とマンゴーにココナッツミルクをかけたものである。食後のデザートとするには量が多いので、食事の中締めあたりに持ってくるには良いかもしれない。
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[Panasonic LUMIX LX3 /24mm F2.0]

  • 日本人が及ばなかったイマジネーションの賜物の味。

 塩味の麺の次に、こういう甘いのを持ってくると、ほのかなもち米とマンゴーの甘さが余計に引き立つ。これも日本では余り見たことが無い。最初見たときは、なんちゅう組み合わせだと思ったけど、なかなかいけるのである。赤飯食べても気付かないけど、もち米って結構甘くて、これ食べると白玉粉の原料だったことに改めて気付く。
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[Panasonic LUMIX LX3 /30mm F2.2]

  • お姉さんが真剣な眼差しで作ってくれる。

 更にお腹に余裕があれば、本締めに粥なんてどうだろうか。屋台街の反対側に一つ中華粥の店がある。バンコクまで来て中華粥かと思うかもしれないが、これも華人が何割かを占める一つのバンコクの側面である。
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[Panasonic LUMIX LX3 /60mm F2.8]

  • 店構えは全然美味そうに見えないが。

 濃厚な出汁の粥も美味しいが、味が凝縮された具も美味しい。乾物万歳である。ここは屋台じゃないけど、屋台街での食べ歩きの締めにこういう店が潜んでいるのが、トンローの油断ならぬ所である。
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[Panasonic LUMIX LX3 /60mm F2.8]

  • 味の方は適度に濃くて、腹一杯なのにするする入る。

 カオサン周辺の屋台は、需給の関係で黙ってても素人外国人が来るからクオリティは余り高くない。もし、バンコクに出張でも行って、夜はちょっと冒険気分を味わいたいなら、電車でのアクセスも良いし、トンローは良い目的地だと思う。屋台食べ歩きなら、質といい集中度といい、ベストかもしれない。惜しむらくは、BTSという電車が延伸して代官山まで乗り入れてくれそうにないことだ。しっかし、日本にもタイ料理の店、ここ10年で爆発的に増えたけど、タイ人がやってる店でも、かなり本国には及ばないのは何故だろう。夏の暑い盛りに、あっさりソーメンなんぞ食べても羽化登仙するだけである。こういう時こそ辛いタイ料理と薄いビールに限るのに。