ボロブドゥールへ。1日目:ジャカルタ安宿街

 発狂しそうに忙しいのでシルバーウィークも突発的な仕事に備えて日本に居ようかと考えていたが、本当に発狂してもつまらないので旅に出た。行く先はインドネシア、旅の始まりはジャカルタである。今日はラマダーン最後の日でもあって、旅先を選んだ一つの興趣はそこにあったが、あんまり統一した盛り上がり感はない。インドネシア人が肩組んで「ハッピーラマダンフィニッシュ!」とか盛り上がることはなく、街じゅうに散発的に流れるアザーンに散弾的に小さな花火が上がってる程度である。痩せた街猫が花火の音におびえて震えていた。やつらにとっては花火テロみたいなもんだろう。
P1020861
[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F4.0]

  • 翼は噂のJAL。翼の先の地平線がぽっこり盛り上がっているのは富士山である。従って、ここは相模湾上空だ。

 インドネシアと言えば、旅行者の中で「バリっ腹」という言葉がある通り、結構旅行してると腹壊す国である。僕も前来た時はきっちりやられていた。元からお腹が弱いこともある。前来たのはもう7-8年前になると思うが、当時はインドネシアに限らず、熱帯の国はどこ行っても基本お腹はユルくしていた。それから幾星霜、わしも3度に亘るアフリカ遠征、2度の南米遠征をガラスの胃腸を守りつつコンプリートし、変な菌への耐性は結構出来てきた気もする。そういえば、ここんとこ旅先で下痢した覚えは無い。そう思ってサテだのソトとかいうスープだのをガツガツ初日から食べてみた。食べたところで、やはりタイとかベトナムほどストリートフードが旨く無いのが残念ではあるが。
P1020864
[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • インドネシアの代表料理であるサテ。要は焼き鳥である。肉質はまぁまぁだったが、タレでよく昔腹を壊したので、タレは控えめに食べた。

 5連休だけの旅行なので、明日はさっさとジャカルタをオサラバして、ジョグジャカルタというボロブドゥール寺院に程近い古都に飛ぶことにして、夜は航空券を探しに街に出た。便利なことに24時間空いていて発券可能なトラベルエージェンシーが安宿街にある様である。20時を過ぎて営業する旅行代理店を探すのが困難な日本より随分便利だが、こういう利きすぎた融通はアジアならではである。安宿街は、Jalan Jaksaというのだが、バンコクはカオサンとかと比べると、月とすっぽん、若しくは通勤とスッポンスッポン位違う。なんか内外タイムズのキャッチコピーみたいではあるが。ともかく寂しい感じで、白人バックパッカーの通り遭遇率も、0.2人/m位だ。おそらく10人/mを超えるカオサンの賑わいとはほど遠い。まぁ若さと素人感の漂うカオサンより実際の居心地はこちらの方がいいかもしれない。
P1020863
[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • あらためて日本に帰ってから写真を見ると、小汚いレストランだったかもしれない。画面下がソトというカレースープ。特にこの店が左下のLonely Planetに載っていた訳では無い。

 トラベルエージェンシーのお兄ちゃんは英語は怪しかったが、なかなかいい奴で、さくさくとジョグジャカルタ行き往復がブック出来た。ライオンエアーというキャリアである。Good Airlineと言うから、better than Garudaかと聞いたが、あっさりNoという答えを得た。日本発着キャリアのヒエラルキーの中では、ビーマンやアエロフロート並みの色物に位置づけられる事も多いガルーダ・インドネシア航空だが、フラッグキャリアの端くれだけあって、本国内における神通力は強い様である。ちなみに、もっと良くないキャリアはどこなのかと興味を持って聞いてみたが、メルパチ航空やシュリーヴィジャヤ航空は、Standardだと言っていた。シュリーヴィジャヤ航空というのは初めて知ったが、ネーミングが殆ど世界史の復習の世界である。日本でいえば飛鳥浄御原航空といった趣きであろう。
 ホテルは何となく電話して予約した安宿街の外れのBumi Johorという自分的には中級クラスの宿である。エレベータの行き先階表示ボタンが半分くらい壊れていて、押しても反応が無い。行き先を認識してくれたか判らないエレベータというのを初めて経験したが、なかなかスリリングなものである。変な所でストップして閉じ込められるかも、という恐怖がじわじわと湧き上がって来るのが抑えられない。暫時の沈黙の後、無事扉が開いた時には拍手喝采ものであった。
 そんなエレベータと付き合わなければいけないのに、お値段は一部屋3000円もする。しかも、備え付けのホテルのタオルの生乾きっぷりは大したもんである。安宿のタオルの饐えた臭いには耐性のある僕だが、これは無理というレベルだった。アジア拡販に燃える花王は、まず部屋干しトップをこのホテルに営業すべきであろう。しかし、ホットシャワーがふんだんに使えたので、、旅人としては、ホットシャワーは宿の七難隠すという格言に従って、この宿を許すことにした。
P1020869
[Panasonic LUMIX LX3/ 26mm F2.1]

  • ホテルのエレベータもぼろいが、ホテルの周りは、結構うら寂しい地域で、夜歩きは多少の緊張を要した。柵の向こうの広場から小さな打ち上げ花火が上がっていた。