自動車ビジネスの本質

昨日はGMのことを書いたので、少々頭の整理の為に、そもそもメーカーから下流の自動車ビジネスを考えてみよう。

ファンクションとしては、

に大別出来るので、それぞれプロセス毎に1台(300万円とする)当たりの収益に換算すると、下記の通り。

・メーカー
(営業利益率を業界平均として7.5%とする)
 300万円×7.5%=22.5万円

・金融
アメリカはリースが多いので、5年リースのフルペイアウト、スプレッドは3%とする)
 300万円×3%×2.5年=22.5万円

・メンテナンス
(1年平均で3万円とし、5年サイクルでの買い替えとする)
 3万円×5年=15万円

・保険
(年間10万円、代理店手数料20%、5年分)
 10万円×20%×5年=10万円

メーカーより下流ビジネスの方が儲かるのが一目瞭然だ。これに目を付けて、下流に力を入れて、バリューチェイン全体で収益最大化します!と賢いエクイティアナリスト好みの戦略を取ったのが、前のフォードCEOだった。結果的にそれは本業のメーカー部分が疎かになって、魅力ある新車が出ず、今の体たらくを招いたのだが、それでも下流事業が高収益なのは疑い様がない事実だ。この所、GMグループの中で「金融」を担っていたGMACを手放そうという話もちらほら出てきているが、これは将に虎の子を手放すという事で、「お尻に火が点いている」ことの証左であろう。

ちなみに、日本では金融以下の下流ビジネスは、トヨタカローラ何とか、とかディーラーがやっている。ディーラーは歴史的に割と独立資本が多かったが、トヨタは徐々に資本を入れていって、下流の付加価値取り込みを図っている。レクサス店導入で、多大な投資をディーラーに強いたのも、これによってディーラーの金繰りを困らせ、トヨタが出融資を行う機会を作るという深謀遠慮が有ったから等という憶測もある位だ。

これ、本当だとしたら、江戸幕府の参勤交代とか大名に行わせる公共事業みたいな話である。偶然ながらトヨタも徳川家も三河出身というのが面白い。愛知県民を見たら財布の紐を締めるべし。