黒澤

bohemian_style2006-02-09


蕎麦好きである。打つほどでは無いが。
飛び抜けて好きなのは、遠州天竜二俣の百舌里庵(すがりあん)だが、流石に静岡まで蕎麦だけ食べに行くのは年に数える程度しか出来ない。東京だと、白金台「利庵」か、白金「三合菴」が白眉だ。麻布に引っ越す前は白金に住んでいたので、特に三合菴には通わせて貰った。新進気鋭の店だけあって、若々しく、爽快な味の蕎麦を楽しめる。途中から有名になってきて、お昼に行くと1時間位待たされたりして、足が遠のいてしまったが、旨い蕎麦なのは間違いない。 
さて、よく通う赤坂では、「浅田」「室町砂場」「観世水」とそれなりに満足できる店が軒を連ねるが、ここ黒澤も比較的良いクオリティの蕎麦を食わせる。
火曜日に友人が歯医者に行くとかで近くに来たので、ついでランチをする事になった。

今日の蕎麦は、田舎蕎麦である。蕎麦御膳という前菜6種プレート+蕎麦というお昼のメニューの主役である。割と蕎麦粉を多めに引いた太めの蕎麦で、濃い目の出汁ですすり、香りを楽しむ。やや、薬味のおろし大根が効き過ぎていたが、蕎麦自体は滋味深い味であった。蕎麦湯もしっとりと舌に馴染み、量が少ない訳では無いのだが、あっという間に食べ終えてしまった。

話の種は、最初ゆるい話をしていたのだが、いつしか仕事関係になって、ヘッジファンドのカテゴリーで言うグローバルマクロの草分けで有り、92年にはイングランド銀行を打ち負かした男として有名なジョージ=ソロシュ(ハンガリー系。ソロスと表記する場合も)が、今どう日本で儲けているか、そのビジネスモデルの話で一番盛り上がった。投資ってのは要はどこにカネを付けるのかというだけのシンプルなビジネスなのだが、彼のマネーの一部は、不動産からその上モノのオペレーションまで、仕組としてうまく回るようにカネをセットアップしてあって、事業も含めてあらゆるアービトラージの機会を追求する様に出来ている。それは、ヘッジファンドというより、どちらかというと我々の様なバイアウトやプライベートエクイティに近いアセットクラスなのだが、逆にオールラウンドに事業を見ようという我々にはなかなか手が出せない、特定の深い業界ノウハウに基づいている部分も有り、なかなか興味深かった。
このインダストリーオリエンティッドな投資と、いわゆるバイアウトで言う「ロールアップ」と何が違うかはまた時間が有る時に考察してみようと思う。

蕎麦を食べ終えた後、友人がオフィススタイルには珍しいドレープのついたスカートをしてるのを見つけて、それかわいいねと褒めたら、でしょ、とさらっと笑われた。さらっと褒めて、さらっと流される位が、昼には丁度いい塩梅だ。