Origami様フラッシュメモリPC

ゴールデンウィーク後、あまりに世の中も仕事も平穏なので、書くことが無いなと思っていたら、SONYからおおおっと驚いた商品が発表された。この所、頭でっかちな文系マーケティングに偏っていた感の有るSONY製品で驚くのは久々かも知れない。

ソニー、16Gバイトフラッシュ搭載超小型PCを6月発表

VGN-UX50 ソニーは5月16日、フラッシュメモリを搭載したHDDレスのモバイルPCを6月に発表すると明らかにした。同社が同日に発表した文庫本サイズのモバイルPC「VAIO type U」(VGN-UX50)からHDDを外し、16GバイトのNAND型フラッシュメモリを搭載する。

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いつか出るだろうなと思ってはいたが、ついに出たフラッシュメモリPC。このVGN-UX50なるベースモデルと併せて、とても気になっている。

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ベースモデルは、520gの3.5時間駆動、1024×600のディスプレイを搭載している。520gとは軽い。僕のデジタル一眼、D50が540gだからそれより軽いってことだ。

前に大手金融機関で働いていた時は、モバイルコンピューティングそのものよりも、いつからモービルからモバイルに用語が替わったのかの方が気になる位の興味レベルだったのだが、バイアウトファンドに転職して、極めて分散的な仕事形態に適応すると、自分の仕事のあり方をモバイルPCの性能が規定してしまうので、とても使うギアにセンシティブになった。

僕のPCは、Thinkpad X41。1.2kg台で軽いが、如何せん画面がXGAなのとキーピッチが狭いので、オフィスで働くときはポートリプリケータ経由でSXGA画面で使っている。後は、自宅に94年から使っているGATEWAYのデスクトップPCが有り、おまけにシグマリオン3と携帯の904SHというのがマシン構成だ。

今の僕の仕事場所とPCでの作業をざっと書き出すと、こんな感じだ。

オフィス:

  • スプレッドシートでナンバークランチング
  • パワーポイントで資料作成
  • 契約書レビュー
  • メール読み書き&ウェブブラウズ

自宅:

投資先:

移動中/週末:

  • メール受信

長期休暇:

  • メール読み書き

基本的にはオフィスや自宅で重めの作業を行って、アウェイの環境ではコミュニケーション主体の使い方である。これは、PCがサブノートの為に作業効率が良くないのも一因だ。作業効率を高める為に重いA4/SXGAのPCに替えるのもナンセンスなので、これは致し方あるまい。

あと迷うのは、日帰り出張や長期休暇の時のマシン選択である。数時間の外出だとその時に抱えている業務の即時性によって、読むだけの904SHだけで行くか、返信を書けるシグマリオン3を選択するかで割とシンプルなのだが、日帰り出張でシグマリオン3だと、パスワードが掛かった文書が読めなかったり、メガバイト級の重いメールが落とせなかったり、最新のFlashを使ったウェブサイトは見れなかったりとやや役不足になる。かと言って、PCを持ち出すのは、バッテリの持続時間が短かったり、ひ弱な僕には移動がうんざりする位重かったりと余り満足できていない。

長期休暇も同じで、もしも緊急で作業をする必要が出たらと思うとPCを持ち出してしまうのだが、一昨年末のベトナムでも昨年秋のボリビア・ペルーでもACアダプタ入れると1.5kg近いPCはバックパッカーという存在とは海洋深層水と紅花油くらい、相容れない事を確認しただけに終った。

こんな状況を、このSONYのニューガジェットは一気に解決してくれそうだ。タブレットPCと比べても、何やらザウルスの親指プチプチキーボードの様だが、一応文字入力が出来るのは大きい。海外への長期休暇でも、outlookのpstファイルをコピーして持っていけば、日本のオフィスと変わらないナレッジベースで仕事が出来る。何よりも軽い。

後は気になるのはバッテリ駆動時間である。3.5時間は十分だがもう一声という感じだ。フラッシュメモリ搭載版はもっと長くなる様だがどの位だろうか。6月発表なので、それを待てばいいのだが、ついつい計算してしまった。

このVAIO type U搭載のバッテリは、7.4V 2,600mAhなので、19.2Whのバッテリ容量になる。この容量で3.5時間駆動という事は、単純に割り返せば、5.5W平均で電力を使用する事になる。PCとしては普通である。新しいパナソニックレッツノートW5は、60.7Whの容量に対して12時間駆動なので、5Wちょいの平均になる。

後はハードディスクとフラッシュメモリの使用電力の差だが、

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これを見ると通常のノートPC用のハードディスクは大体1.5Wくらいの使用で有り、フラッシュメモリディスクは、0.1〜0.5W位だという事が判る。仮に最小値で0.1Wだとしても、全体の電力使用量が5.5Wなのを4.1Wに低減する訳だから、3.5時間は4.7時間駆動になるのが最大という事になる。余り劇的な変化は無さそうだ。これはつまり、ノートPC全体に占めるハードディスクの電力使用量が余り大きくないという事を示している。

これが7-8時間くらいになると全然違うのだが、ちょこちょことメールを見てはスタンバイに戻し、ウェブブラウズしては戻し、というのを繰り返す使い方を想定すると余り長い時間駆動させる為に重くするよりも、有る程度の所でばっさり切るという作り方は妥当とも言える。出張ならば新幹線で東京−大阪間に相当する2.5時間持てば十分だし、そこは致命的では無いだろう。

こうやってちらちらと調べてみると、むらむらと妄想が湧き上がるギアである。辺境のネットカフェで、置いてあるPCのLANコードを引っこ抜いて突き刺し、同じくPCからキーボードも抜いて、USB端子に挿してメールを読み書きする姿が浮かんできた。

音響カプラで通信環境の悪い国際電話経由でダイヤルアップしていた時代は過ぎ去り、今はアフリカの奥地でも、南米の秘境でも大抵ネットカフェにブロードバンドアクセスが有る時代である。かつては、PCとカプラでコンプリートしたマシン環境が必要だったが、現代ならネットカフェに落ちている機材を有効活用する前提でも大した不具合は起きないだろう。

こうやって具体的に旅行の姿をイメージしていたら、夏か秋になるであろうイラン・アフガン旅行への意欲が俄然沸いてきた。もちろん、同時に仕事へのモチベーションは俄然下がった次第である。