デートの真実

昨年ボリビアとチリに行った時のことだと思う。バックパッカー諸氏はご存知の通り、北米−南米路線はアメリカン航空の金城湯地で、この銀銀ギラギラの機体のエアラインが最も稠密な路線を持っている。なので、この時もアメリカンで行ったのだが、その機内誌に面白いサイトの広告が載っていた。
it's just lunch.com。単なる出会い系ではない。多忙なプロフェッショナル向けに特化した出会い系サイトみたいなもんである。オトコもオンナも相手にSATCことSEX and the CITYの様にバリバリと働くキャリア系を求める人の集まりなのだが、本題はこのサービスが日本に上陸してくれと切々と訴えるものではない。
このサイトは、DATING STATS & FACTSと称して、デートに関する統計をちらっと表示してくれる。僕がアメリカン航空に乗った時に見た広告にも、

  • 初めてデートする時に相手の名前をgoogle検索する・・65%

とかStatsが出ていて、思わず合コンしたら基本ググるよねと笑ってしまったのだが、これが3ヶ月に1度位サイトを訪れてみると、たまに新ネタが入っていて面白い。

僕が気に入っているのを軽く拝借してみる。

  • 会話が止まってしまう理由
    • 過去の異性関係—49%, ダイエットや体のイメージ—21%, 政治—15% 結婚—15%

日本と全く同じである。僕はスーパースキニーボディなので、よく2番目で地雷を踏むのだが。最後のやつは女性から切り出して会話が止まる事が多いような。

  • 最初のデートで選ぶ料理のチョイス
    • イタリアン-46%, ステーキハウス-19%, 日本料理-16%, メキシカン-11%, フレンチ-8%


イタリアン大人気は日米共通か。カジュアルで美味しいから誘いやすいのかも。日本料理とかはアメリカ人からするとインテリジェントに見えるからというのが、友人弁。しかしステーキハウスって??女性が男性を誘う場所なのか、その逆か微妙。ただ、日本で女性から男性に「焼肉行きたいー」としょっぱなから言われたら、ちょっと引きますな。

  • 8人に1人
    • 最初のデートから24時間以上経過した後からトライして、2回目のデートに漕ぎ着けられる人の割合

身につまされます。ははは。ここからのファインディングスは、24時間以上経過させるなという事と、とにかく打席に立てという2つの様に思われる。

ダイレクトリンクはしないが、URLは、http://www.itsjustlunch.com なので、もっとStatsが知りたければどうぞ。

しかし、こういう統計って如何にもアメリカ人らしい。日本人も聞けば興味津々ながら、あんまりこういう事を主導してやろうという着想は無い気がする。同じ様に、文明論なんてのも、ハンチントンとかフクヤマとか、或いはドラッカーとか、日本で本は売れるけど、日本人の学者は余り聞かない。
この差はどこから生まれて来るのだろう。動的なものの分析とか、違いを抽出する事を、余り訓練されていないのだろうか。或いは、どうしてもある現象が発生すると、それを代表する個人を追ってしまって、普遍的な法則を見出す事が一般的では無いからだろうか。こういう「遊び人」「ドン=ファン」の伝説とか、ホストみたいな個人が語るハウツー本とかは有るものの、様々な遊び人に普遍的な要素とは、なんていう話は聞いた事が無い。サッカーでも、オシムのサッカーとは、という話よりオシム語録、中田と他の日本代表メンバーの考えるサッカー観の違いというよりは中田個人の動向とかにどうしても話が偏る。個人のストーリーが面白く無い訳では無いが、普遍性を探って判りやすく伝えるってのも違う知的な面白さが有る様に思う。その観点では、「ウケる技術」「東京いい店やれる店」とかは数少ない例外的な本だったと思うのだが。
デートから始まってあらぬ方向へ考えが転ぶ今日この頃である。ま、一つだけ確実な事は、恋愛を普遍化するには、僕はケースが足りんという事である。