Day -1/休暇獲得。

 休暇を獲得した。獲得したのは1週間以上前である。そこからが残務整理で鬼の様な状況になり、サッカーの代表戦も続いたりして、blogの更新どころの騒ぎでは無くなってしまった。1週間以上更新出来なかったのは久々かもしれない。実は、その間2回くらい書きかけて、800字くらいは書いたのだが、2回ともPCがトンで、やる気をなくしてしまったという事件も有ったのだが。
 来週から再来週、16日間の堂々たる休みである。今年は殆ど年末が存在しなかったから、ほぼ1年ぶりに休める。どこか遠くへと思っていたが、なにやら今の世は航空券は軒並み一杯で直前ではどこにも行けないのである。インド亜大陸より西に成田から出ようと思うと、30万円以上の高いクラスのチケットしか残ってないとのこと。ちょい前まで旅行業界は青色吐息だった筈なのに、ここもバブってる模様だ。しかし、こんなウカれた世の中なのに、大量増資しないと経営が持たないJALは、結構すごい状況なのかもしれない。
 さて、ほんまに航空券が無いので探しあぐねた挙句、最終手段として、関釜フェリーで韓国に行って、ソウル発券というのにトライする寸前、名古屋発がまだ残っていた。エミレーツ航空である。素晴らしい。エミレーツはドバイを母空港とし、関空と名古屋ではメジャーな一方、東京の人には余りなじみが無いが、シンガポール航空、ヴァージン・アトランティック航空と並ぶthe world's three best airlinesだと僕は思っている。エミレーツは、機体とサービスの双方がアウトスタンディングである。何しろ新品から2年だか3年だかしか機体を使わないという、勿体無いお化けが憑依してそうなポリシーを持つ会社なのである。
 ドバイまで行ってしまえば、後はアフリカだろうがヨーロッパだろうがインドだろうが自由自在だ。結局、ガーナ→ブルキナファソコートジボアールと回ることにした。旅行代理店の端末を分捕って、エミレーツのチケットのルールを色々見ていたら、ガーナの首都アクラとの単純往復と、アクラin アビジャンコートジボアールの首都)outの航空券は同価格である事が判明した。なので、オープンジョーと言われる到着地と出発地が違うチケットにしてみた。この時点では余り考えずにそうしてしまったのだが、後からとんでもない事実に気づく羽目になったのだが。
 アフリカと決まると次は薬と予防接種である。予防接種は僕はほとんど過去に打ち終わっている。A型肝炎、腸チフス破傷風、黄熱病などはOKでA型肝炎はカナダのトラベルクリニックでシリーズ・コンプリーティッド、つまり生涯免疫を獲得している。後は狂犬病くらいだが、これは2週間間隔で2回打たないと免疫効力が発生しないので、今回も時間切れでgive-upである。一方、薬関係では、必ず持っていかなければいけないのはアンチ・マラリアタブレットと、強力な下痢止めである。マラリアワクチンは、僕はビブラマイシン(ドキシサイクリン)を過去ずっと使ってきた。日本では基本的に予防処方が禁止されていて、例外的にマラリアに限ってはメファキン(メフロキン)という薬が処方されるが、僕はこの薬が嫌いである。ラリアムというゾロが出てから、爆発的に使われる様になった結果、一部に耐性マラリアが出回っていることと、副作用に悪夢と精神錯乱があり、別にアフリカの路上で錯乱して、江頭2:50の様な油断ならぬ身のこなしで踊っても、たぶん悪人が近付かない分だけ安全なのかもしれないが、僕はダイバーなので、海中でこれが起こると命に関わる。ダイバーにとっては、メファキンは禁忌なのである。一方でビブラマイシンは、安くてかつ元々抗生物質であり、長期連用も可能である。この手軽さが気に入って、某製薬企業の社員の方にこっそりお願いして頂いたり、欧米のトラベルクリニックに訪れた時に処方箋を書いて貰って、買って備蓄をしていた。あと、この薬がいいのは、元来抗生物質なので、これを飲んでいるとニキビが治ったり、下痢を起こしにくくなることである。割とブロードなアスペクトを持った薬(色んなものに効くということ)なので、細菌性の下痢なんぞ怖くなくなるのである。
 ただ、肝心のマラリアへの予防効果という観点では、やはり専門の薬に対しては少し落ちるらしい。かつて南米のスリナムという国を旅行したときに、オランダ人老夫婦の旅行者がマラローンという新しくてよく効くが、1週間分で200$近くする高価な薬を飲んでいて、「僕はビブラマイシンを使っているけど、あなたは高い薬飲んでますね」と話をしたら、

  • You can buy your life for futher 100$.

とかミもフタも無いコメントをされたこともある。そんときは前の会社を辞めた後で、本当にお金が無かったので、ああカネで命のリスクって変わるんだなと逆にハングリー精神を燃やした(?)ものである。
 ちなみに、この事件はもう4年近く前の事だが、最近調べてみると、薬の個人輸入サイトでなんとこのマラローンが買えるのである。今回、その現実についついエキサイトして、思わず買ってみた。そしたら、確かにクリックして数日で手元にマラローンが届いたのである。英グラクソ・スミスクライン社謹製。なにやら後光まで差している。素晴らしい。ビブラマイシンが「やくそう」なら、こいつは気分的に「世界樹の葉」みたいなもんである。


[NIKON D80/SIGMA DC 18-200mm F3.5-6.3]

  • これがマラローンである。なんとこのしょぼい写真が、新調したNIKON D80を使って初めてのblogフォトである。この写真なら後ろに写っているD50でも大差は無いであろう。

 そんなこんなでメディカル関係の準備が済むと、後はビザとパッキングである。今回はサブサハラの荒野をトレッキングする可能性があるので、荷物は限界まで軽くすることにした。この辺については次回書いてみようと思う。僕は、危なそうな所には行くが、本当に危ない所には行かない。結果的に怖い目に有った事が、世界50カ国を歩いて1度も無い。また、行くときは可能な限りのリスクヘッジをする。メディカル関係もそうだし、エアラインもテロを避ける為に米英は使わず、イスラム系か米英と距離を置いているフランス、ロシア辺りの航空会社を選好する。荷物なんかもそのポリシーは貫徹している積りだ。何を捨てて、何を残し、何を入れ替えるか。パッキングは知的なゲームだと思う。