由比PAパパパ

 小難しい話は一回休みすることにする。
 世の高速道路の休憩所としては、サービスエリアとパーキングエリアの2種類がある。近年充実する一方のサービスエリアで、どしろーとの女性とメロンパンなんぞを食べるのが基本的な使い方であり、パーキングエリアというのは、汚い話で恐縮だが、基本的に「漏れそう!」という時に立ち寄るものである。
 しかし、きっと世にはパーキングエリアマニアなるニッチな代物も存在すると思うのだが、僕はそこまでは最終解脱はしてないものの、世のパーキングエリアの中では、静岡の由比PAが一番好きである。二番目は、そのスパルタンさを買って、関越の土樽PAとしておこう。あ、これを読んで行ってみたいと思った方、まじ何も無いので要注意。ちょっと前まではトイレすら無かった有り得ない殺風景さに萌えるというだけの場所だ。パーキングエリアというのは、まさにパーキングさえ出来れば、その名前を主張できるのだ、という当たり前の事実を実感したければ、この土樽PAでクルマを停めて、呆然としてみるのもいい。
 なにやらアツく意味不明の主張をしてしまったが、由比PAの何がいいかをパパパっと説明すると、まず富士の遠景である。

[SHARP 904SH 70mm F4.0]

  • よく考えると、この携帯のカメラ、とても良く空のブルーが出る。NIKONのデジカメよりいい色合いかも知れない。景色は若干青かぶりしているが、携帯にしては上出来だ。

 駿河湾とともに臨む富士は美しい。これは先週末の土日に静岡の実家へ法事に行った帰りの写真だが、極めてクリアな晩秋の空に冠雪が美しく映えた。もちろん、富士川SAからの近景がいいという人も居るだろうが、富士は遠くから仰ぎ見て、その大きさを思うものと個人的には思っている。ここからだと、万葉の昔、田子の浦ゆと詠われた風景をもう少し遠くから見ている感じになる。

[SHARP 904SH 70mm F4.0]

  • これは富士川SAから。近くで見てもいいけど、山を見て海を見ずというのも寂しい。

 なお、由比PAの建物は平屋の小さいものだが、屋上に上る事が出来て、富士を展望することが出来る。また、このPAの建物は、北を国道一号線、南を東名高速に挟まれる構造となっており、由比の山が海に迫る光景の中、道路の列の中に浮かんでいる島の様な感じで、なかなかユニークな気分だ。低い跨線橋の上から、分岐の多い線路を眺めているのと似ている。

[SHARP 904SH 35mm F2.8]

  • 展望台の椅子。モダンに見える?だとすると写真のマジック。

 あとは駿河湾名物と言えば、タカアシガニに桜えびだが、ここのPAには桜えび丼という代物がある。むかし浜名湖SAにあった、うなぎハンバーガーよりはお勧めしたい食べ物だ。基本的にキチン質の殻をバリバリと、オキアミを食べるシロナガスクジラの気分で砕いて食べる物なので、多くを期待してはいけないが、なかなかタレが効いていていける。ミニサイズなら280円と安く、小腹減りんコフの時にも重宝する。

[SHARP 904SH 35mm F2.8]

  • これが280円。身がない海老を具とした強引さに脱帽。

 景色にゴハンに小さいながら個性の立ったPAである。牧の原SAも日本平PA富士川SAも設備が整っているが、ガラガラで静かでユニークな由比、もし東名を走っていたら、ふらっと寄るのをお勧めしたい。

[SHARP 904SH 35mm F2.8]