クルマの燃費改善

 日本も真面目にクルマの燃費改善で数値目標を導入するようだ。平均で23%燃費を良くしなければいけないとのこと。燃費が良くなれば、消費されるガスの量が減り、ガスの量が減れば、それだけ輩出されるCO2、NOxは減少する。

車の燃費、2割改善義務化へ 国交・経産省が規制強化

 国土交通、経済産業両省は、自動車の燃費を現状より2割以上高めることを義務づける新基準をつくる方針を決めた。日本車の燃費効率は国際的にも高い水準だが、京都議定書が定めた温暖化ガスの削減目標を達成するためには、より厳しい基準を義務づける必要があると判断した。燃費規制の大幅強化は、ハイブリッド車など燃費の良い車の普及を促す一方で、メーカーに巨額の開発投資を迫ることが確実だ。
 月内に両省共催で開く審議会で具体案をまとめるが、15年度をメドに燃費を04年度実績より20〜25%改善する新たな目標を義務づける方向で、最終調整している。
 省エネ法が定める現行の燃費規制は、99年に実施された。ガソリン車を車両重量ごとに9クラスに分け、2010年度までに燃費効率を95年度実績より平均約23%改善することをメーカーに義務づけた。

Asahi.com

 よく読むと、95年からの15年間で平均23%だ。23%の15乗根を暗算・・は出来ないので、EXCEL君に聞いてみると、年率1.39%弱である。前年より1.39%ずつ毎年燃費が改善すれば到達できる目標ということだ。平均2割以上改善というと凄い話の様な気もするが、毎年1.39%だと何となく出来そうな気がしてくるのは数字のマジックである。エンジンはそうそう毎年モデルチェンジするものではない。日産はエンジンのリニューアルを、やばい時期は余りしなかったし、リバイバルプランの間も控えていたりしたから、日産車のエンジン音というのは随分長い間変わらなかった。という訳で、何年かに一度という比較的長い商品サイクルであるゆえに、新エンジン投入時には、数%燃費を上げないといけない、ということになる。
 また、消費電力が毎年の様にガンガン減る電化製品と違って、クルマは物心ついたころから、1リッターあたりの走行距離は、プリウスみたいなextremeなのを除けば、余り変わっていない感じがする。エンジンは勿論効率化が進んでいるだろうから、その分乗り心地や加速が良くなったり、車載電子機器や快適装備における使用電力に使われていたりするのだろうか。この辺の、化石燃料1リットルから取り出すエネルギーとその使用用途を時系列比較したウォーターフォールチャート、どこかに落ちてないだろうか。
 あと、記事中で面白いなと思ったのが、重量による区分分けである。何となく重い車は排気量が大きく燃費の悪いエンジンを積んでいるだろうから、フェアな区分分けの様にも思えるが、うがってみれば、重くなりがちなハイブリッド車の普及が魂胆と読めなくも無い。ハイブリッド車は、ハイブリッドシステムを積む分だけ車両重量は重くなる。よって、同じクルマでも、ハイブリッドシステムを積んでいると、一つか二つ重い区分に行く可能性が出てくる。重量の重い軽いは問わず、あまねくハイブリッド車が入ってくると、そもそも燃費がいい上に、区分が上がって比較対象となる95年の燃費水準も悪化して、向上幅の絶対額が大きくなり、平均23%というのを達成しやすくなる。ハイブリッド、燃料電池ディーゼルエタノールなど、いろいろエコカーのアイディアは有るが、日本が先行しているのは先の2つだけで、特にハイブリッドが一番進んでいる。新技術は技術の優劣というよりは、量産効果を先に取ってコストを下げたもん勝ちという側面が、液晶 VS プラズマ VS SEDという次世代テレビで明らかな通り、非常に露骨にあることから、日本政府としては、非関税障壁とかと言われない範囲で、ハイブリッドを推進したい所だろう。このうがった見方が正しければ、補助金とかを用いずに、うまくインセンティブ付けしたものだ、と思う。