爆弾低気圧が発達中

 今日は大荒れだった。昨年も年の瀬に大荒れになって、大雪が降った覚えがある。
 冬の太平洋側といのは、寒いがからりと晴れて気分がすっきりするのだけが取り得なのに、何で寒いのにざーざー雨は降り、風はびゅーびゅー吹くのかと頭に来た。それで勢い込んで天気図を見てみると、日本の南海上をかすめて東進する温帯低気圧に目を奪われた。今朝は1006hpaなんていう平和な存在だったのが、28日朝には964hpaなんていう、そんじょそこらの台風よりも強烈なモノに化けている。呉の呂蒙曰く、男子三日会わざれば刮目して相い待つべし、と。3日で化けるのは男子だけじゃなくて、温帯低気圧もらしい。

[出典:気象庁ウェブサイト]
 天気図が読める方だったら、上を見れば一目瞭然だと思うが、左下の28日予想図は等圧線の数が多くて、極めて危険そうな雰囲気を醸し出している。
 僕は、辺境に旅行に行ったり、シーカヤックやらダイビングやらトレッキングやらといったアウトドアをするので、自己防衛という観点で真剣に天気図と天気予報を見ることが多く、その蓄積ゆえに普通の人よりは天気に詳しいと思うが、気象予報士になれる程では無い。その「毛の生えた素人」の言葉という前提で、なんでこんな事になったのかを考えたい。
 一般に、低気圧が発達するのは、2つの隣接した気団(高気圧)の間の温度差が大きく、低気圧に暖気や暖かい海水などからエネルギーが供給される必要が有る。この低気圧は、台湾付近で発生した2つの低気圧が合体したものだが、まず十分に湿気を持っていたのだろう。今年は、シーカヤックやっていても海水は暖かいなと思っていたが、調べてみると、実際台湾から日本の太平洋岸にかけては、平年よりも1-2度海水温が高い状態が続いているので、比較的パワーを維持したまま日本近海に来たのだと思われる。
 次に天気図の左上部分に注目してみたいが、時系列に沿って徐々にシベリア高気圧が張り出してきているのが判るだろうか。いつもはベルホヤンスクの方に居座って、こいつが地球の寒極を作っているのかと感慨深い(?)シベリア高気圧がバイカル湖を越えてきている。ベルホヤンスクと言えば、今丁度白夜の反対の極夜の季節で、多分明後日になるとこれが明けて一日の日照時間3分と、太陽が復活する筈である。そんな小ネタはおいておいて、ついでに高層天気図を見ると、満州の上空5500mが、氷点下42℃なんていう強烈な寒気団になっている。こいつが出張って来たので、三陸沖で南下中の高気圧との温度差が大きくなり、これが低気圧を急速に発達させた要因だろう。また、高層天気図を見ると、偏西風の蛇行状況がわかるが、今は丁度日本の西側で蛇行の南端があって、日本上空では、偏西風は北向きになっている。一般的には蛇行の南端の西側で高気圧、東側で低気圧が発達すると言われるから、これも要因の一つかもしれない。

○偏西風と気圧の関係はこちら

 さて、昨年末の大雪や、2004年12月に東京で観測史上2位の最大瞬間風速40.2m/sをもたらした、いわゆる「爆弾低気圧」だが、定義は24時間で緯度35度ならば気圧が16hpa以上下がることである。今来てるのは、これに十分該当しそうだし、28日は日本列島上を強烈な数の等高線が入り、北風が吹き荒れそうな感じである。幸い、シベリア寒気団が張り出すのは、低気圧が東京を去って、三陸に抜けた後だから、湿気に寒気で雪という昨年末のパターンにはならなそうだ。27日は低気圧が北に抜けた後特有の生暖かく湿った気候で、28日に近付くに連れて、低気圧が発達し、乾いた強い北風に変わるというのが東京の足許の天気だろう。
 あと、過去3年の傾向からすると、毎年の様に爆弾低気圧は来る前提で居た方が良さそうだ。日本は世界で最も爆弾低気圧が発生し易い地域の様で、爆弾低気圧の定義自体が急速に発達することであることを考えると気をつけるに越したことは無い。秋冬に南から接近する低気圧が来る時は、それにシベリア寒気団が近づいてないか、或いは南から暖かい湿った風が吹き込んでないか、その辺をチェックしてみる人なんぞ身の回りにはおらんが、知的ゲームだと思うと楽しめるかもかもしれない。