ミュー命旦夕に迫る

 旅行記は一休みして、クルマの話である。今乗っているクルマは、いすゞのミュー・オープントップという正直“珍車”だ。2年前の冬に50万円で買い、そこに30万円のVGAカーナビを入れて使っていた。2代目ガソリン3200ccエンジンの方である。wikipediaによると、この2代目ミューのガソリンエンジン車は229台しか売れず、ディーゼルエンジンバージョンも併せても1261台であり、珍車の王様ビークロスよりも販売台数が少ないレア車の様である。
 オープントップであるが、電動式なんてしゃれたもんではなく、手でバリバリ幌を剥がさないといけないので、軍手必須というスパルタンな代物であり、買ってから一度しかオープンにしていない。車中泊で全国回ろうとか、フェリーで樺太渡って、原野を疾走とか、色々考えていたが、4,305mmという4WDとしては異例のショートホイールベースのせいで、寝心地が極めて悪く、結局普通のタウンユースがメインとなっている。
 しかし、商用車を作っているいすゞらしく、4WDの性能は侮れない。ブリヂストンデュアラーというオールシーズンタイヤを履いているが、新雪ふりしきる急な下り右カーブとかでもトラクションを失うことは無かった。どれ位急かと言うと、具体的には、車山高原スキー場からビーナスラインを下って、152号に出る大門峠位である。チェーン履いててもあそこは怖いことがあるのだが、ミューは全然OKであった。

  • ISUZU MU 出典:Wikipedia

 しかし、3ヶ月前ほどから、エアコンのコンプレッサーから異音が出てきて、エアコンが使えなくなり、3月の車検を期にそろそろ修理しないとなと思っていたのだが、今日ロッテ葛西ゴルフ練習場に向かっていたら、箱崎JCTのあたりで急に減速し、POWER REDUCTIONのマークともう一つ見慣れぬマークが点灯した。完全止まっていたら休日の首都交通網に大打撃を与え、後続のクルマからありとあらゆる罵詈雑言を浴びる所だったが、何とかトロトロと首都高を脱出し、マークを確認すると燃料電子制御の異常の様である。ガススタのお兄ちゃんの、エンジン切ってしばらくして再始動すれば復活することも有りますよ、という暢気なアドバイスに従って、無理やりトロトロ運転で最寄の東陽町のゴルフ練習場まで辿り着き、1時間ほど打ち込んだ後に再始動してみたが、電子制御の異常マークは治らない。ただ、POWER REDUCTIONのマークは消えたので、普通のスピードは出せる様になり、なんとか家には辿り着いた。
 燃料電子制御の異常ってのはカネかかりそうである。カーエアコンのコンプレッサーも交換となると数十万の話になる。しかもタイヤもそろそろ交換時期で、かつ車検切れも目前である。下手すると、30万円とかのコースになるかもしれない。50万円で買ったクルマに30万円ナンピン入れるのもイマイチである。また、前のオーナーは船持ってたらしく、ボートトレーラーと接続するパーツが付いている。長年牽引をしてきたせいかどうか知らないが、妙に変速ショックが大きいのも気になっており、ここにも地雷が潜んでそうである。
 そうこう考えると、買い替えの時期なのかもしれない。高いクルマには趣味としての興味はあっても、実用の対象としての興味は無い。小学校の頃からCAR GRAPHIC読んでたのに自分でもこうなったのは意外である。男子だからスポーツカーには勿論興味はあるが、やっぱり雪山・砂利道に行けるクルマじゃないと、いざスノボ、いざトレッキング、と云う時にイライラする気がする。そういう意味で、僕は美学や刹那の快感よりも究極の実用を重んずるタイプなのだろう。ただ、もし、スポーツカー買うなら、これまた珍車ながらカッチョ良いクライスラークロスファイアはど真ん中である。新しめのタマでも新車価格の半額、200万円台まで落ちてきていて、これはValue for moneyがあると思う。要は珍車は新車で買うべからず、という事だが。同様のコンセプトでは、フェラーリのプラットホームになった後の、マセラティ・クーペもここ1年で25%も値落ちしていて、悪くない。
 輸入車中古価格は、景気動向と大変相関性が高いので、買う時はカーセンサーラボをチェックするのが良いだろう。
○Car Sensor Lab; ここ1年で25%下落した図

  • Chrysler CrossFire 出典:Wikipedia

 という訳で、対象はSUVである。SUVでは無いが、子供の頃からの憧れ、アルシオーネSVXに乗る最後のチャンスかも、という思いはあるが、ミューで買った後にお金かかったので、10年落ちとかのクルマにはちょっと腰が引ける。なので、結局比較的新しめのSUVになってしまった。最近のSUVは余りキャラが立って無いので、正直候補に乏しい。

 こんな感じか。仕事上何でも数字化して比較考量しないと意思決定が気持ち悪くなる様になってしまったので、Googleスプレッドシートに燃費とか馬力とか最小回転半径とか色々打ち込んでみたが、SUVとしてなら、フォレスターの実力が図抜けているのが判った。ロードクリアランスなんぞ21.5cmと、本職クロカンのミューの20.5cmを越えている。深い雪でも腹がつく事は少なそうだ。重量は若干重いが、最小回転半径も5.3mと小さく、ターボモデルにしては燃費も良い。スペックには表れないが、間違いなく4WDシステムもインプレッサ譲りのフルタイム4WDだから、他よりも性能がいいだろう。ただ、エクステリアはだいぶマシにはなったが、こ、こんなに営業車っぽくて良いのだろうか!という感じである。運転すれば、秘境と珍車の押し売り気分になれるかもしれない。

  • SUBARU Forester 出典:Wikipedia

 CX-7は6速セミオートマ、238馬力という駆動系が楽しそうである。ちょっとスポーツカーテイストを、ということであれば、名前と併せて一番楽しめるかもしれない。欠点は、リアシート倒したフラットカーゴスペースが170cmと、やや短いことである。スノボは積めるが、寝れない。寝る事なんて少ないのだが。

  • MAZDA CX-7 出典:Wikipedia

 ムラーノは豪華な内装でいい気分にはなれそうだが、CVTで鈍重そうではあるし、4WDは多分、CR-Vとかと同じでおまけの域を出ないだろう。ロードクリアランスが18.0cmと低いのも、オフロード性能が皆無である事を物語る。高速道路でハリアーにブチ抜かれた記憶は結構あるが、ムラーノは抜いた記憶しかない。そういう、ゆったりした気分になれる車なのだろう。あと、でかいのにカーゴスペースが小さいのは、気になる所だ。ミューも十分小さいのだが。

  • NISSAN MURANO 出典:Wikipedia

 Dudge キャリバーは、格好良いとは全く思わないが、テイストは大好きである。DudgeのデザインをSUVという箱にうまくまとめていると思う。しかーし、よく見たら日本仕様にはFFの設定しかない。こういうクルマに4WDの設定が無いのは詐欺である。というか、どうせ日本人は格好だけでオフロードなんぞ行かん、とナメてるのであろう。wikipediaには、このクルマは当時の資本提携先である三菱自動車との共同開発で、兄弟車のアウトランダーへの配慮からFFのみとなっている、という記述があるが、こちらが事実としても、実に肝っ玉の小さい話である。パッケージとしては、意外と小回りも効くし、燃費も11.4km/lとそう悪く無いので、これで4WDが有って、クライスラーらしく、ばっちし中古は値落ちしてたらな、と残念だ。

  • Chrysler Dudge CALIBER 出典:Wikipedia

 ま、とりあえずはミューの燃料電子制御故障の見積もり次第だが、株価よろしく、色々値動き見ながら買い替えを考えてみるのも楽しいものである。

○追伸

 日曜になってエンジン再始動したら、燃料電子制御以上のマークは消灯した。念のためいすゞに見て貰おうと思うが。コンプレッサーはリンク品(再生品)で何とかならないか、調査中である。これで済むなら、暫くミュー生存ということだろう。