阪神間

桜を見る積もりで行った関西だが、結局桜はまだで、勝手知った街ををてくてく歩いただけに終わってしまった。

あとは、食べては寝て、食べては寝てと、本当によく寝ていた。ラマダホテルのベッドが格別良かった訳では無いが、ここ半年の激しい毎日に、さすがに疲れが溜まっていたのだろうか。

という訳で、V570も持っていったが、余り撮ったものは多くない。

先ずは丸いものである。

blue lighting
[KODAK V570 23-117mm F2.8-4.4]
伊丹空港からバスで着いた梅田のハービスエントの一階である。青い光は時間と共に色が変わる。別に変わったら変わったでいいのだが、人が居ない真っ白な空間で色だけ一定の時間ごとに変わるというのも、なかなかシュールな光景ではある。
これだけ白い場所だと、スーツ着た人がシミみたいな存在になってしまう。日本人の白好きは個性でも有るが、やり過ぎると、ちょっと潔癖すぎて頂けない。

airport lighting
[KODAK V570 23-117mm F2.8-4.4]
新規オープンした神戸空港のレストラン、神戸洋食キッチンの天井のライティング。なかなか面白い。球形が密集しているのは、余り無い眺め。なぜか天井のこのライティングだけは気合が入っているが、レストラン自体は極めて普通の、地方空港に有りがちな洋食レストランである。入り口のサンプルの陳列棚、明るい店内、スクエアな座席配置、暖色系のファブリック、素っ気無いスクエアのテーブル、そしてビニールで出来た写真入りのメニュー。

地方空港もそうだが、サービスエリアのレストランも軒並みこんな感じである。こういう店構えでは、あまり飯がうまそうに見えんのだが、なぜこういうフォーマットは日本から減らないのだろう。

続いて、丸くない歪んだものである。

steel rail
[KODAK V570 23-117mm F2.8-4.4]
神戸ポートライナーの手すりだ。別に特に意味は無いが、曲がり方が気に入ったので思わず撮ってみた。接写したので、V570が手すりの反射の中に歪んだ姿を見せている。開業以来二十年、人々の手が磨き上げた反射である。

Guest and clerk
[KODAK V570 23-117mm F2.8-4.4]
セントレアだの羽田空港第二ターミナルだの、この所オープンする空港や空港ターミナルは皆気合が入っていて、なかなか洗練されて気持ちの良い空間なのだが、神戸空港は母都市の洗練度に反して、ひたすらに地方空港の趣である。むしろ、対岸の高松空港とかの方がクールな感じだ。

フライトが35分ほど遅れたので、ふらふら歩き回ったが、本当に撮るようなものが無い。撮るに事欠いて、女性が神戸空港で一番美しいとばかりに望遠で撮ってみた。スカイマークエアラインのグラホと乗客である。若いグラホの方は、手前の同僚が頼んだものを探しているのを、見守っている。乗客の女性は、スタイルも良かったが、とても優雅な物腰だった。こういう人が空港には相応しい。交通機関では有るが、飛行機にはせかせかした人は似合わない。
余り趣味がよろしく無いのは承知だが、中東圏やアフリカの空港では、たまに絵になる乗客と係員が話をしている時が有って、思わず写真に撮りたく成るときがある。これがなぜかアメリカの空港では滅多にお目に掛からない。

しかし、関西三空港は過剰などと言われて、余りカネが掛けられないのは判るが、もう少し神戸空港もデザインには気合を見せて欲しい所だ。中小規模の空港でも、スタンステッド空港や、チリのカラマ空港など、機能的かつ楽しいデザインの空港は一杯ある。

日本は、ほっとくと美しくなくなってしまう国だという前提で、何か作る時は必要以上に気合入れてデザインして欲しいと思う。折角カネ掛けるのだから、記憶に残る施設になった方がいい筈だ。