一子相伝

青森はまだ冬景色の筈だが、なにやら春めいたニュースが聞こえてきた。シンガポールの武道家が伝説の使い手を捜しに青森まで来たとの事。

シンガポール道家一族>空手家探し青森の雪山へ

 青森県西目屋村白神山地近くで4日夜、シンガポールから来日した中国系武道家一族ら13人のうち男性3人が雪道に迷い、5日未明に県警弘前署に保護された。一行はシンガポールで道場を経営していた武道家の遺族らで「青森の山中で修行する空手の伝承者に会えとの遺言を受け、伝承者を探しているうちに道に迷った」と説明しているという。
 同署などによると、13人は5年前に病死した武道家の妻(50)と息子2人、近所の人10人。3月22日に来日し、4日朝から3人ずつ3班に分かれて伝承者を探していた。残る4人は寒さで体調を崩し、ホテルに残っていた。
 武道家の長男を含む第1班は登山道に向かって歩き続けたが、午後7時ごろになって仲間の携帯電話に「雪で進めない。道に迷った」と連絡。仲間が地元観光協会の通訳とともに弘前署に届け出て、約6時間後に救出された。3人は畑にあった廃車に入って寒さをしのぎ、けがはなかった。
 事情を聴いたところ、亡くなった武道家シンガポールで空手などを教えていた。しかし、2人の息子は武道に興味がなく、道場にあった「空手の秘伝書」も弟子の一人に盗まれてしまった。後継ぎ問題に苦慮した武道家は死の間際、「青森県の相馬村に極真空手の伝承者がいる。彼に会い、秘伝書を譲り受けてほしい」と遺言したという。

Yahoo! Japan

凄い事が世の中に起きるものである。日本の空手は少林寺が起源なので、中国の少林寺の使い手が日本の空手家を師と仰いでいても不思議では無いが、全体的にとても現実離れした話だ。団塊Jr.世代位からなら、このニュースを見たら思い浮かべるのは一つである。

中国は泰山のふもとの村とかから出てきたなら、もっと真剣味のあるニュースになったかも知れないが、シンガポールというのがユルい感じだ。新加波。世界一治安の良さそうな国の武道家。まぁ自衛隊みたいなものか。ナイトサファリで猛獣相手に荒行の一つでもこなすべきであろう。

あと、僕はどうしてもこの「空手の秘伝書」が気になる。いま手に入れたいアイテムリストの最上位にランクされている。これを手に入れれば、僕の武力は5ポイント上がって、一騎討ちで魏延甘寧辺りと戦っても遜色なくなるに違いない。そうしたら、仕事の不利な交渉でも空手力で相手をなぎ倒してしまおう。
しかし、どの様な内容なのだろうか。五輪書の様に深く禅宗思想がバックボーンとして息づき、哲学の域に昇華された書物・・では多分無いだろう。場所的に、伝説の偽書、東日流外三郡史の真本という可能性も有るが、これは中房時代にムーを読みすぎた故の幻想だと思われる。まぁ良くて、鳥獣戯画の様な絵巻物、というよりは常人には理解不能な下手な絵本、悪ければ、うーん、まぁ空手を使ってモテる方法、とか余り空手の型とは関係ない48手(図解入り)位の話だろうか。

この後の展開としては、多分、息子は苦闘の末にフラグを立てて、相馬村の雪中に潜む伝説の空手家に遭い、秘伝書の写しを授けられるのだろう。その書の示す真髄により、急速にスキルアップした息子は、父が授けられた真の秘伝書を追って長い探索の旅に出るに違いない。そして、行く先に立ちはだかる敵空手家、ナイトサファリの猛獣、黒マーライオンの屍を乗り越えた先で、究極の秘密の存在に気が付く。この辺で前編が終わりである。

後編は面倒なので、SPA!の読書欄みたいなアナーキーなお題で恐縮だが、諸氏自身で考えて頂ければ幸いだ。いい内容が思いついたら、その構想を引っさげて、我こそは伝説の継承者なりと青森で名乗りを上げてみるのもいいかも知れない。その時は、僕も空手の秘伝書の「偽装」にぜひ協力したい。

最後に、ここまで我慢に我慢を重ねて、この部分につっこみたい衝動を振り切ろうと努力してきたが、いま自分に敗北したのを認める。

  • 付いてきた近所の10名って一体何やねん!

・・・面白すぎた罰として、ムスリムの隣国マレーシアで酔拳の披露を命ず。