赤坂コリアンアレイ

戦後、在日コリアンへの賠償をどうしようかという議論の中で、敗戦国日本は賠償資金が全然無く、土地を代替として供与したという歴史が有る。そうやって供与された土地が都心のそこここにプチコリアンタウンとして存在しているが、赤坂もその一つである。

と言っても、赤坂のは料亭街の西側に小通りが一つといった風情で、タウンというよりはアレイなのだが、その一角はハングルが踊り、通りに面した1階は韓国料理屋が沢山ある。この赤坂コリアンアレイは、もっとも近い韓国として、赤坂・溜池・山王周辺のビジネスパースンには極めてポピュラーで有り、ランチタイムには彼らで一杯になる。

初めて行った人が一番気になるのは、「将軍の家」という焼肉屋だろうが、ここは名前の迫力に押されて僕はまだ入った事が無い。将軍様抜きで喜び組だけならいいのだが・・。

僕が、赤坂コリアンアレイを発見してから既に2年以上の月日が経つが、面白いことに、アレイの中で一番大きな面積を占める店が、よく変わるのである。半年周期位で全然違う店に改装オープンを繰り返していて、下手をすると初めて行って、その次に行ったらもう違う店という事もあった。その店の前にある「韓国中華」は、中華から旨味を抜いて辛味を足した様な、極めて独創的なまずい料理をこの2年間変わらず出し続けているが、それよりは遥かにオーソドックスな味なのに、前の店は経営者が変わり続けているのである。確か前は「カルビ屋」という名前だった。

そのカルビ屋が3ヶ月位前につぶれて、名前は忘れたがコリアンバーベーキューの店になった。コリアンバーベキュー自体がよく判らない代物である上に、独特の味のおいしいコリアンBBQとか、それに類する不思議なキャッチコピーが店の看板に書いてある。このキャッチコピーに加えて、なにやら赤いチキンが店内でばらばらと鉄板の上に置かれているなど、極めて危険な匂いを醸しだしており、いつかはリスクを取ろうと会社の同僚と話していたが、なかなかその気にならなかった。

その気にならずに冬は終わった訳だが、金曜日の夜にひょんな事からひょんひょんと以前、一緒に働いていた女性と飲もうという話が発展して、M&A関係者だけで5人が集まって飲む事になり、お店を探していたらこの店の前にたまたま辿りついて、そのまま吸い込まれる様に入ってしまったのである。

まぁ二度と行く事は無いであろう。店の名前も覚えていない位である。

ブデチゲはまだ食えたが、このコリアンバーベキューは凄い味だ。独特な漢方ソースが旨い!とメニューに書かれていて、お店のハルモニも美容にいいよ、と笑っていたが、幾ら美容に良くても、まずかったら意味が無い。独特なのは認めるが、旨いは認められない。


・これが赤いコリアンバーベキューだ。

向かいの韓国中華と強力なタッグを組んでこの一帯に君臨している風情になってきたが、今回ばかりは次のお店に期待である。