夜明け前

5月2日の仕事を終えて、帰途に着いたのは既に5月3日になって5時間が過ぎようとする頃であった。何時ものことである。午前3時前にオフィスを出れば早い、それを過ぎると遅い、という感覚となって久しい。

春分の日もとうに過ぎると、午前4時台というのは既に明るくなっている。そう高層にあるとは言えない僕のオフィスであるが、見下ろす夜明け前の東京は美しい。冬の時分が、冷え切った都会を朝日が朱に染めて最も美しいのだが、如何に多忙と言えど、朝6時7時まで残ることはそう多くない。4時位でも夜明けの風景が見れるのは、丁度いま時分から夏至の日を挟んでの前後2ヶ月だろう。むろん、望んで遅くまで残って見たいものでは無いのだが。

地上に降り立つと、ひたすら青い。夜明け前は東京が最も静かな時間であると実感する。この騒がしい都会が一瞬だけ静まる時だ。ビルの通用口から出て、冷たい外気に触れ、オフィスから程近い住処を目指す短い時間を僕は大事に思っている。何ゆえか身が引き締まり、最もアイディアが豊富に浮かぶのがこの時だ。これまで大きな成果を挙げた仕事の中の幾つかは、この時間に浮かんだアイディアを家に帰って書き留めたものが結実したものである。

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[SHARP 904SH / 35mm F2.8]

オフィスの近くでは夜明けを夜か朝かに分類すると夜の方だったが、家に近づくと朝に分類されつつ有るのを感じるときが有る。行き交う車のライトが鮮やかに街を照らす。街が起き出したのを感じる。Early bird達の姿を横目に、今日も眠りにつく。

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[SHARP 904SH / 35mm F2.8]

今日からゴールデンウィークである。3時間後に起きて、西へ向かう。