雨季の終わり

気がついたら三連休は映画を見に行く位しか予定を入れていなかった。さてさて何をしようかと考えたが、夏に遊び呆けて実家に帰れないというリスクを考えて、実家に帰っておくことにした。
金曜日はロンドンからホームリーブで帰ってきている友人と、共通の友人と3人で23時位まで恵比寿イル・ボッカローネで食事をした。相変わらずここの肉は旨い。あと、実はここの隠れた名品がアペタイザーのカラマリ・フリッティで、これはついつい毎回頼んでしまう。新鮮なのを使っているのか、ギリシャサントリーニ島辺りのこじゃれた海辺のレストランで食べるカラマリ・フリッティと遜色ない。腹がくちくなった後、友人宅に移動してぺちゃくちゃと喋り、その友人のバスク人の彼氏(!)とのSkypeでの会話を横耳で聞きつつ、彼女がバスク語をかなり流暢に話せる様になっているのに驚嘆した。昨年ちょっと話題になった「Small world」に関して最も有名な法則である「6次の隔たり」であるが、僕は「世界の言語は、バスク語とそれ以外である」とも言われる孤立した民族・言語集団であるバスク人まで、mixiなら友達の友達で写真の下に関係が表示される距離で繋がっている。
朝方に家に戻って、土曜は昼ご飯を食べたら実家にバイクで向かおうと考えたが、食あたりらしき激しい下痢と頭痛でダウン。なんでシチューみたいな煮込みものしか食べてないのにこうなるかなー。僕はバックパッカーの割りに脆弱なる胃腸と共に生きており、1-2年に一回はこういう軽い食あたりを日本で起こす。夏場に多いのだが、食後に頭がクラクラしてきて、視界が激しい飛蚊症になる。前は日比谷でビビンバ食べたらこうなった。あんまり、こういう目に頻繁に逢っている人を見たことが無いのだが、これはやっぱり僕だけの苦行なのだろうか。結局一日寝ていた。
起きたら夜だったので、夜明けを待って実家である静岡に帰る。交通手段はここんとこ使ってなかったバイクである。僕は、25歳の手習いで中免を取り、カワサキのKLE400という極めて不人気なオンオフ兼用のマルチパーパスというカテゴリーのバイクに乗っている。シーカヤックとかの時に、砂浜にどかどか入れるから便利である。オンロードバイクなら直ぐにギブアップのダート道も、少々ならOKだと思うが、僕はこれに乗って4年になるが行ったことは無い。極めて腰高なバイクで、かつ200kgと異常に重いので、こけたら自分で起こせないこともあり、びびって行けないのである。また、腰高ゆえ雨の高速も怖い。このタイプのバイクは、高速でもダートでも何でもこなせるのが美点で、BMWのR1200 GSなどはその究極で世界をバイクで旅行するなら文句無くこれなのだが、僕のカワサキはどちらかというとダートも高速もイマイチと、「中途半端」「器用貧乏」を極めた様なバイクである。ま、その辺が自分に似ていて気に入っているのだが。

[NIKON D50/TAMRON A16 17-50mm/F2.8]
・これが中途半端な僕の分身。
さて、東名に入った頃に日が昇り、青い世界が色づいて見慣れた風景になり始めた。ちょうど梅雨、雨季の終わりで、分厚い雲が空を覆うが、雨は降らず、たまに強烈な夏の日差しが差す。好きな季節である。98年と随分前に行ったが、未だに良かった国トップ5に入ってくるミャンマーは、ちょうど雨季の終わりに行ったが、こんな感じの天気がずっと続いていた。水の匂いがする季節だ。夏のちょい見せ感がよろしい。
Hare or Ame
[NIKON D50/TAMRON A16 17-50mm/F2.8]
・夏の日差しは雲ごしでも強烈。雲の切れ目からは鮮烈な青空がのぞく。第二東名の橋桁が地上を代表して存在感を示す。
富士山も雲の向こうだ。7月中旬で僅かに雪が谷に残る。今年は春から富士山に異常に残雪が少なくて、山麓の民らしく富士山の残雪で季節を計る癖のある静岡県民にとっては、異常気象を不安に思う春から初夏だったが、7月になってみると標準的な残雪である。これが8月に入る頃に全部解けてしまって、青山となるのがいつもの富士残雪暦だ。確か、あれは93年だったと思うが、いつまでも雪が残っていて、あれあれと思っていたら、その年は東北に山背が吹いて、冷夏・米の大凶作だった事がある。
Mt.Fuji with cloud
[NIKON D50/TAMRON A16 17-50mm/F2.8]
・山容は判然としないが、静岡県民が富士を間違える事は無い。
さてさて、実家についたのは午前9時。まだ一日の始まりである。時間はたっぷりあるので、今日は、写真学校の卒業課題で、夏をテーマに色々実家の周りで写真を撮ってみようと思う。