大人モノポリー

 投資銀行やファンド在籍の友人達と、たまたまモノポリーしようという話になった。なので、今日はモノポリーの話をする。僕は、社会人になってから「大人モノポリー」を結構過去やりこんだのだが、学生時代と違う面白さ、奥の深さがある。モノポリーは、要は不動産投資ゲームで、ダイスを振って、止まった場所の土地を買うことが出来る。その土地に自分以外のプレイヤーが止まるとそのプレイヤーから既定のお金が取れて、それが土地購入に対するリターンになる。さらにキャッシュが積みあがると、土地に建設投資が出来て、そうすると止まったときのペナルティが上がり、投資した側にとってのリターンが上昇していく。最後、手元現金が一番多いものが勝ちである。聞いて判るとおり、極めてリアリティに富む為、過去モノポリーは資本主義の教育ゲームと呼ばれ、一部共産圏では流通禁止になったと聞く。
 さて、ルールは上記の通り単純なのだが、1周スゴロクを回ると一定のキャッシュがプレイヤーに分配される為、これがインフレ率となり、このインフレ率がゲームに深みを与えている。インフレがあると、土地の資産価値は常に相対的に減価していく事から、このインフレ率を上回る様に建設投資をして、名目期待リターンを上昇させないと負けることになるのだ。これは実にうまい仕組みで、仲間内で、このモノポリーにおけるインフレ率の存在の発見は、「インフレ率革命」と呼ばれて、この1周回ることに増えるM2+CDのベースマネー(?)を常に意識しながら、平均1周時間を時間軸にDCFで投資評価が行われる様になった。また、インフレ率が判明した事から、資金不足のプレイヤーに対する「融資」を行うときのリスクフリーレートが確定し、1周回ることに何%という融資利率が、このリスクフリーレート+スプレッドで極めてリーズナブルに決まることになった。これによって、投資をせずに融資でローリスクローリターンで生き延びる、というプレイスタイルも可能になったのである。
 それで、過去の経験上、大人モノポリーでは、その人の職歴・プロフェッションが如実にプレイスタイルに出る事が判っている。例えばこんな感じだ。

  • 弁護士は、個別に相互不可侵条約を結んで、リスクをヘッジしたがる
  • 官僚は、それを見て、個別契約ルールの透明化を推進したがる
  • 投資銀行IBDは、不利になるとすぐ合従連衡戦略に出る
  • 商社の人は、最初からコンソーシアム作って投資する
  • ストファイの人は、やっぱり手持不動産を証券化する
  • ヘッジファンドの人は、生不動産より証券化商品投資とハイイールド融資に傾斜する
  • エコノミストは、ゲーム内インフレ率をより緻密に計算したがる
  • 会計士は、エコノミストが計算したインフレ率を元にDCFで投資評価する
  • デリバティブの人は、手持ちの土地の先物やオプションを売り始める
  • 保険の人は、土地より他人の土地に止まった時の保険商品を開発販売する事に熱心になる
  • 経営コンサルタントは、勝負より参加者の行動分析の方が好き
  • 不動産ファンドの人は、底地を買い占めて寝かせ、建物を建てずにキャピタルゲインを狙う
  • バイアウトファンドの人は、ついつい設備投資絞って、勝ちきれない

皆さんの職業ではどうだろうか?