京都・錦市場

 先週末、出張の前泊で関西に泊まったが、ふと気が向いて京都に行って来た。特に寺という気分でも無いので、殆ど昼ごはんを食べに行った様なものである。あんまりあても無いので、下りた四条烏丸の駅からふらふらと錦市場に向かった。

[SHARP 904SH/35mm F2.8]

  • 錦市場の街角にて。もうもうと湯気の上がる練りもん。おなかがグーとなる。

 東京の人はなぜか京都の寺社仏閣巡りが好きな人でも錦市場に行った事が無かったりする。ここは、"Lively"という言葉がぴったしのカラフルな市場というか商店街で、その日もとても賑わっていた。京都に行ったら、ここを訪れないのは勿体無い。観光専門でもプロ専門でも無い、観光客もプロも庶民も受け容れる間口の広い市場である。僕的な日本の三大市場を認定するなら、錦市場那覇牧志公設市場は当確だ。あと一つは、築地か金沢の近江町市場あたりであろうか。
 さて、肝心の昼ごはんだが、八百屋の奥で野菜が頂ける池政が空いていればと思ったが、時間切れでアウトとなり、魚屋の二階で魚が頂ける「のと与」に入った。ここの名物は天然に近い環境で育てられた「坂東太郎」という鰻である。かつて、大阪北新地の割烹で四万十川の天然鰻を食べたことがあるが、これまでの鰻の概念を覆す濃厚さに驚いた。幾ら高くても鰻においては養殖もんと天然は全く別種の食べ物なのである。そういう経験があったので、ここの坂東太郎も天然に近いという謳い文句に相当ワクワクしていた。

[SHARP 904SH/35mm F2.8]

  • 逸品でした。

 果たして、今まで食べたどの養殖もんよりも旨かったと思う。カリカリに焼いた上に甘いタレで頂くのだが、中は極めてジューシーで柔らかい。思わずとろける瞬間である。地元静岡県西部は鰻で有名だが、残念ながら静岡の養殖鰻とは全く違う世界が天然にはある。付き出しで出たえび芋も旨くて、何で京野菜は東京には無いのかねと思ったが、本丸の魚も旨かった。大満足である。

[SHARP 904SH/35mm F2.8]

  • えび芋はサトイモの一種ではあるが、全く違う食感。

 お店を出て、市場を出るまでに、茶漬け用に小さく切られた鰻の珍味、深蒸し茶、かぶら漬を思わず自宅用に買った。週明けのプレゼン・交渉は、カバンの中にこれらを隠しながら行う事になる。カバンの中でパウチが破れてかぶら臭くなったらどうしようとか、そんな心理的ビハインド(?)を負うのも気にならないほど、京都には魅力的なものが多い。日本に京都が無ければ、建築においても食文化においても実につまらない、洗練されない国になっていたのでは無いかと思う。