宗教と政治

 前回に続いてワンフレーズのお祭り騒ぎで衆院選が終わった。政治ブログでは無いので、結果については論評しないが、個人的にはベストというかベターをどう選ぶかという観点で、これまで以上に苦労した選択ではあった。さて、その衆院選の中で、ある意味注目を集めていたのが幸福実現党である。前に住んでいた白金に、幸福の科学関連の施設が沢山有ったので、個人的にもどれ位票を取るのか、気には止めていた。
 結果から言えば、比例区は45万9千票である。比例区の総投票数は7000万票なので、0.6%ちょっとの得票率だ。宗教というのは、これまでの歴史的な弾圧の歴史を見ても、政治を超えた信条である部分もあり、その意味でアクティブな信者の人はほぼ幸福実現党に投票しただろうから、この数字からして、まぁほぼ45万人の人がアクティブな信者なのだと考えて間違いは無いだろう。これを多いと見るか少ないとみるかだが、97年以降正確な信者数は発表していないとはいえ、95年7月に立宗10周年記念誌にて信者1000万人突破と謳った宗教にしては、少ない数字だと僕は思う。ただ、一方で20年そこそこで、45万人の信者を持ったのはそれなりにハイペースなのも事実だろう。また、これ位の信者数があれば、全国に候補者を配置して選挙戦を戦う位の組織力や資金力を持てる、ということでもある。当たり前の話ながら、特定の集団が政党を作るというのは、真の構成員数を世に明らかにするリスクをはっきりと取るんですな。
 幸福の科学は、本を布教の媒体にしていることで知られており、紀伊国屋新宿店調べのベストセラーランキングにもたびたび総裁が書いた本が登場する。その中で、一番売れたのは公称1000万部超とのことだが、アクティブな人が45万人とすると、一人が20部平均で買って、周りに配っているということなのだろう。なんとなくリアル感がある数字だと思うし、人の持てる人的ネットワークとは大体20人位が本を配れる程度に親密であるとも言えるのかもしれない。
 さて、与太話はここまでにして、ある種理屈を超えて非妥協的な宗教と、多数決と現実主義の政治は明らかに相容れないし、政教分離の原則は全くもって尤もと個人的に思っている。多数派の国民の感覚は、僕と同じだろうから、この党と、もう一つの宗教バックボーンの政党のことも批判的にしか見ていないだろうが、それにしてももう一つの党の方は、今回も805万票と、幸福実現党の17.5倍の得票を得ていて、総投票数の10%を超えるなど、それなりの存在感がある。しかし、両党ともそもそも自衛隊の存在程度には違憲の疑いがあるのは周知の事実である。それこそ自衛隊の様に、何となく存在が所与になりつつあるし、文字通り触らぬ神や仏のなんとやらだが、国の原則は原則で貫き通すべきであろう。その方が宗教と政治の関わり合いは、健全に保たれると僕は感じるところである。