民主が勝った選挙

 infoseekを見ていたら、日刊ゲンダイが、総選挙が一方的な結果になったことについて、精神科医和田秀樹の言葉を引用しつつ「日本人はピンク・レディー世代以降は「勝ち馬タイプ」に変わった」と論評していた。周囲との同調を好むがゆえに、この世代はファミコンとかのメガヒットを生み、空気を読まないといけない勝ち馬気質を醸成したという。
 あんまりネタ的な分析に反応してもと思うが、比例区の得票率の推移はこんな感じである。

党派名   得票数   得票率 前回  前々回 3回前
自 民 18,810,217 26.7 38.1 35.0 28.3
民 主 29,844,799 42.4 31.0 37.4 25.2
自 由                           11.0
公 明  8,054,007 11.4 13.2 14.8 13.0
共 産  4,943,886  7.0  7.2  7.8 11.2
社 民  3,006,160  4.2  5.4  5.1  9.4

 実は今回の自民の得票率は、3回前の選挙、いわゆる森内閣下での神の国解散と大差無い。その時は自民党は233議席を取れて、なぜ今回118議席に終わったのか。これには明確な要因があって、比例区での議席獲得は今回「自民党の解散みたいな解散」55議席、「神の国解散」時は56議席と大差ない一方、小選挙区自民大敗だったのである。みんなが勝ち馬に乗って民主に票をいれまくったというよりは、民主が野党諸派に分散していた反自民票をこの3回で糾合し、小選挙区で自民と戦える勢力を形成できていたのが、今回の勝因と思われる。よって、民主が勝ったというよりは自民が負けた選挙、と誰かが総括していて、それも一面の真理だが、民主が勝てる体制を作っていたから勝てた選挙でもある。そういう意味では民主が勝った選挙である。
 英国的な政権交代を実現する2大政党制を目指した小選挙区制度は極めてうまくワークしつつある。また、この選挙から民意なるものを推し量るとすれば、どこでもいいから、強く長期でコミットできる政権を作りたい、という事であろう。小泉内閣が中からも先進諸国からも支持されていたのはまさにその点であったし、かつて中国の新聞から「日本は金融危機にあって伝統的な集団主義の精神を発揮できずに足の引っ張り合いをし、衰退の兆候を示している」と耳の痛いというか、イラっとする分析をされていたが、まさにそんな政治はもう十分という気分が有権者に充満していたのが今回感じられた。

○中国紙は1面で報道も 中川氏辞任で /MSN産経ニュース