非実在青少年問題

 ご存じの方も多いと思うけど、現在東京都は、非実在青少年というクリエイティブな法律用語を作り、ロリエロアニメなんかを規制しようとしている。議会決議は、6月まで継続審議になった様である。最近の議論はトレースしていないが、このニュースが出た頃は、2ちゃんでは随分憤激している面々が居た。2ちゃんは面白い娯楽だけれども、そのネトウヨ的論調だけは辟易するが、こんな事件が起きると、2ちゃんに巣くう一部のネトウヨの面々は、自らが支持する右翼とか保守ってのは、こういう規制を導入する側であって、表現の自由とか人権とかを守ってくれるのはリベラルな友愛の方だってのは肌身を持って理解できたのかは興味ある。ま、匿名掲示板だから、ネトウヨってのもネタでやってんだろうけど、愛国とロリエロは両立せんのである。この規制はおそらく成立するだろうが、それが嫌なら、次の選挙で今の愛国の権化みたいな知事を降ろして、リベラルな人を知事にしないといけない。その人はおそらく外国人参政権には賛成だろうが、それは「今のノーマル」にとってロリオタも外国人と同じかそれ以上に、格差是正措置(?)が必要な外縁の存在であることのアナロジーである。
 僕個人は、3次元ではダメな児童ポルノが2次元ならOKというのは論理が通りにくく、規制の大小の議論はあるし、ゾーニングの問題の様にも思うが、方向性自体は已む無しと思う。仮に2次元ならOKとすれば、それは表現の自由では無くて、被害者であるリアルな児童が居ないという一点においてしか正当化できない。表現の自由で正当化できるなら、3次元もOKという余地があるか、という話になるが、そうでは無いからである。刑法というのは、常に被害が生ずるか、とモラルに反するかの2点を拠り所にしている。被害者の居ない合意売春が罪であるのは、モラルに反するからである。伝統的に左翼革新は、刑法をはじめとする国家や体制がモラルを押しつけるのに反発をして、保守右派は規範・モラルをどこかで線を引いて法律に入れ込む側であって、これはずっと相克のある論点ではある。この規制は、後者のモラルという観点に力点が置かれていて、3次元と2次元は共通の軸で規制されるべきであって、被害者の有無は関係なく、また売春が罪であるのと同程度のレベル感で行き過ぎでは無い、というスタンスなのだろう。後は、「みだりに」とかが乱発され、いかようにも解釈可能な粗雑な規制の文案を、明快な基準にどう整理するかの問題である。さすがに今の文案で成立するのは違和感があるが、その辺がきちんとすれば、規制派の方が理が立つと思われる。
 最後に一つ興味有るのは、昔から児童相手の変質者って居たけど、ロリエロが盛んになって、この変質者の出現・逮捕回数が減ったかである。もし、これが減ったなら、ロリエロを必要悪として社会的に許容する余地はあると思うが、減ってないか、増えているなら規制する、というのは一つのファクトに基づいた合理性だと思われる。賛成・反対、どちらかのメッセージが必ず出る筈なので、いずれかの陣営は、こういったファクトを示すべきでは無いだろうか。