写真で語る大橋ジャンクションと中央環状開通

 日曜28日は、大橋ジャンクションの開通日であった。遂に東名と中央道が繋がった。東名はかつての東海道の成れの果てであり、中央道は甲州街道の成れの果てだから、日本橋を出てから名古屋まで交わらなかった2つの街道が、五街道制度から400年の時を経て大きな連絡経路が整備されたことになる。日曜の16時が開通時刻だったが、たまたまその時間近くにゴルフ帰りで近隣に居たので、冷やかしに中央環状から大橋ジャンクションを通ってみた。たまたま、金曜飲んでいる時にこの話題になったのだが、乗り物オタの同僚が、「出来たばっかの道路の新しいコンクリの匂いがいいんですよ。早く行かないと匂いはすぐ消えちゃうんです」と言っていた。道路には香りを愛でるという新しい楽しみ方の提案である。どうやら、オタにとってみると、新設道路とは「月下美人」みたいな儚く美しい存在の様だ。むかし、親友の鉄オタには、鉄道に乗っている時に、振動の癖からレールの鉄の質を推し量ることこそ、文字通り「鉄道」の正しい賞味方法であるという、かなり新しめの楽しみを提案されて、目をパチクリさせてしまったが、それに匹敵する新奇さかもしれない。

 これが、初台南の新設インターチェンジである。中央環状というのが、この連絡経路の正式名称で、山手通りの下を通る。これは、甲州街道方面から南に向かう入口である。山手通りと同一の高さで比較的広めの料金所が確保されている。どうやら初台南から東名と中央環状が交わる大橋ジャンクションまでは渋滞の様だ。ここから中央環状に入って、東名に抜けて三軒茶屋で降りる積もりである。

 料金所をパスすると急速に下降する。S字型の勾配変化が顕著である。

 地下に入ると狭くて急な坂だ。西銀座駐車場を彷彿とさせる狭さである。中央分離帯はなぜか地上のポールからがっちりとしたコンクリに変わった。

 合流地点から渋滞しとる。野次馬が多いようだ。まぁ、自分のその一員なのだが。初台南より中央道よりには出入り口は無いので、この人々は中央道/4号新宿線を経由してきたか、東北道の方から中央環状を走ってきたことになる。

 お、富ヶ谷の出口のサインである。割と入って直ぐである。C2のマークはかわいい。僕も下からまかれたい。

 富ヶ谷出口が見えてきた。なんか分岐して下って上っている様に見えるのは目の錯覚か?

 ちなみに、これは富ヶ谷の入り口の光景である。大橋ジャンクションから中央環状に入ると最初にある出入り口だが、美女木までの時間が表示されている。そういや、美女木ジャンクションという、勢いだけで命名されたと思われる、しょーもない音楽ユニットが有ったなぁ。最近は何の活動をしてるのか知らんけど。

 地味に富ヶ谷出口。「山手ラーメンに行かれる方はお乗り換え下さい」

 暫く走ると2車線が1車線に統合される。今後渋滞の名所になりそうだな、ここ。あと、都心の山手通りの地下深くに今は潜んでいるのに、広漠たる海沿いの有明JCTまで20分という表示に萌える。でも、自分が行きたい東名方面はばっちし渋滞。

 見えたっ。これが大橋ジャンクションのアイコン。すげぇ、昇竜拳というかネビュラストリームというか、漫画キャラの必殺技みたいな激しい渦を巻き起こしている。ライフル銃の中で旋条によってグルグル回転した弾が分裂しちゃった様にも、或いはとぐろを巻いた双頭の蛇にも見えるが、これは山手通りからグルグル回って上ったあと分岐するからである。しかし、何つうか技術者の誇りを感じさせるマークですな。こういうポイントオリジナルアイコンがどういう基準で設定されるのかは知らないけど、東京都では他にレインボーブリッジ位であろうか?

 トンネルもカーブが多くなってきた。いよいよ大橋ジャンクションに入っていくかと胸は高鳴る?

 あれ、今度は逆巻き。どうなってんねん。

 しかし、なかなか男子を高揚させる造作だよなぁ。剥き出しのライトと配管にエキサイトする。色々配線を考えて穴を掘っていくというよりは、シールド工法でとりあえずコンクリで出来た穴がぼこっと出来るから、その中にものを作るしか無くて、こういう剥き出しな感じになるんだろうか。

 急にトンネルが狭まり、両壁が迫ってくる。分岐のサインが出てきた。西新宿ジャンクションの様に、東京の外側からの車線としか繋がっていないのかと思いきや、大橋ジャンクションは、両方の車線に接続できるのだ。

 これからネビュラストリームの中に入るところ。シールド工法で作ったチューブの中的な雰囲気は終わり、四角四面の世界へ。宇宙旅行してる時に、うっかりブラックホールに吸い込まれ、シュヴァルツシルト半径を超えてワームホールの中に入った時、仮に視界があったら、こんな風景・・・の訳無いか。

 二車線は二色に塗り分けられていて、東名方面は青、霞ヶ関方面はオレンジである。静岡県民的には、エスパルスの色であり、静岡県の色でもあるオレンジが西、マリノスの青が東という固定観念があるが、ここは西が青、東がオレンジで認知不協和を起こす。そんな僕の隣をバイクの一団が疾走する。

 そろそろ分岐の様である。地面の色を見てエスパルスマリノスかと思っていたら、看板の色的にはジュビロアントラーズの趣である。なるほど、それなら西が青、東が赤で正しい。なんかほっとした。日本のクラシコ万歳!

 東名か都心環状か。用賀か渋谷か。同じ事を直ぐに言い換えているが、どちらが判りやすいのだろう。Circle 1ってなんか格好いい。ガーナと首都アクラでは、オスという六本木みたいな所と、エンクルマ・サークルというロータリーが有って、新宿みたいな所の間で頻繁に乗り合いバスが走っていて、エンクルマ・サークル行きは、車掌がクルクル指を回して、サークル!サークル!と叫んで行き先をアピールするのだが、ふとそれを思い出した。ヘイ、サークル1!サークル1!。

 いつの間にか地表面を超えて、東名と同じ階層に居た様である。これで合流。ここまで渋滞が続いたが30分位である。

 池尻の手前だ。このあたりは、3号線下りが谷町から池尻まで1箇所も入口が無いので、流入車が元々集中するのと、その先数百メートル先に三軒茶屋出口が有って合流と流出が交錯するので、もともと池尻先頭で渋滞しやすいが、そこに更に中央環状が合流。結構ここ、死に死にエリアに今後なりそうだ。
 ちなみに、16時開通の所、17時には訪れることが出来たので、「儚い新しいコンクリの匂い」なるものを嗅いでみるべく、深呼吸したり、鼻をクンクンさせたりしながらドライブしてみた。結果は、ええ、たっぷり排ガス吸い込んだだけでしたとも。最後はシンナー中毒みたいになって、ラリ夫状態で運転してたぞ。なかなかコンクリの穴に月下美人の趣を探すのは難しそうだ。開始後10分とかの勝負なのかしらん。