大和トンネルを先頭に35km

 東名を使う人は、24kmポストを憎み、そして怖れる。東名は24kmポスト地点で厚木基地の滑走路の延長線にぶつかり、落下物等からの安全確保の為、トンネル構造とされた。これが通称大和トンネルである。この辺りは、もともと勾配がやや立ち上がって2%程度ある。これに、登坂車線が終わって3車線に戻ることと、トンネルの圧迫感からドライバーのアクセルが緩むことが重なり、渋滞の先頭となりやすい。前は、綾瀬バス停が渋滞の先頭の名所の栄に浴していたが、登坂車線が出来たので、大和トンネルに先頭が移行した。


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  • これが大和トンネルである。上は原野の様だ。別途探検を行い、「大和トンネルの上、善徳寺の西」なる本にまとめてみたい。

 この週末に静岡の実家に帰省したが、案の定18時時点で大和トンネルを先頭に東名は大井松田ICの付近まで35kmの渋滞だった。経験上、関越道と東北道以外は降りたら負けの場合が多いが、僕は渋滞が大嫌いなのと、持して待つよりリスクテイクするタイプなので、例え時間が掛かったとしても、よく積極的に一般道に打って出てしまう。この日もふつふつと降りる気が湧いてきたが、この際時間を計測して、勝ち負けをはっきりさせることにした。
 大井松田に着いた時点で20時40分、渋滞は30kmで通過時間は80分との事である。大井松田ICから秦野中井ICは、御殿場からぐるっと箱根を迂回した東名が最も海に近付く区間である。従って、海沿いを走る他の道路に逃げやすい。いつもは、西湘バイパスまで出てしまうのだが、そうすると、「折角なので、横浜中華街で肉まんでも補給しますか」みたいなパターンに大抵陥って、時間計測の用を為さないから、今回は保守的に小田原厚木道路を選択した。小田原厚木道路は大和トンネルより西側の厚木で東名と合流するから、まだ渋滞の先っちょの方にはぶつかってしまうが、30kmを延々と渋滞に耐えることとのとりあえずの比較には丁度良い迂回ルートだろう。

  • さぁ、混んで参りました!

 さて、大井松田から大和トンネルまでは80分が東名では見込まれたから、最終的には22:00までに大和トンネルを通過していなければ、いつもの通り軽挙妄動しての敗北を味わうことになる。30kmが80分だから、平均22.5km/hで流れており、中央道みたいな死に死にの渋滞でも無さそうで、相手は強敵と思われる。この小田原-大和ラリー(実に地味だ)、果たしてその先に勝利の歓喜は存在しているのだろうか。
 第1レグは、大井松田ICから小田原厚木道路の小田原東ICまでの6.7kmである。大きな道路が通っていて、ほぼ直線状に行けるルートだが、実はこの道路の脇に旧道らしき道があって、こちらの方が信号が少なく、快適なドライブが出来る。この区間、さすがに21時近くだったこともあり、一般道はがら空きで、約15分で走破することが出来た。これは幸先が良いスタートである。小田原東ICから厚木JCTまでの第2レグは、25.5km。これも厚木JCTの合流まで混んでいなかった。もう少し時間が前だと、合流地点から1-2km小田原厚木道路に渋滞が伸びていたかもしれない。ここの所要時間は20分弱。大井松田で東名を外れ、厚木で東名と再合流するまでが合計35分である。これは勝利の可能性大ではないか。

  • 見れば当然に判るメッセージでCO2を消費するの図。

 ファイナルレグは、厚木から大和トンネルまでの渋滞の残党11kmである。渋滞の約3分の2は、35分でスキップできた事になる。ここは渋滞の名所ではあるが、登坂車線が出来て4車線化する区間もあり、それなりにスピードが出る時も多い。走ってみたら、11kmが17分であった。平均40km/h弱。渋滞の定義は高速では時速40km以下だから、定義スレスレのライトテイストな渋滞である。結果として大和トンネルを通過したのは21:38だった。大勝利である。22分をセーブできたことになる。大井松田から大和トンネルは、空いていれば20-25分位だから、58分での通過であれば無駄にしたのは30分ちょっとである。これはオトク感がある。土日に菊川から御前崎辺りでサーフ&ターフするとか、由比PAの桜エビ丼を食べに行くとか、富士山麓に一軍を率いて総合火力演習をしにいくとか、そういったカジュアルな遠出にバリバリ使えそうな迂回路だ。通算成績では分の悪い、「一般道打って出る作戦」だが、久しぶりの完勝である。勝利の要因を挙げるならば、こんな所か。

  1. そもそも東名の渋滞が30km前後と十分に長く、通過に70-90分を要する
  2. 時間が遅く、大井松田からの一般道と小田原厚木道路双方に渋滞が無い

 ふむ。まとめれば、静岡行った時は、焦らず旅先で美味しいご飯をゆっくり食べて、一般道が空く時間帯に帰れということですな。

  • これが人の心理に影響を与え、思わずブレーキを踏ませる、恐るべき大和トンネルご近影である。