NIKON D50

一眼レフを持つというのは、もう一つの眼を持つことである。ファインダーが切り取る視野は、見慣れた風景を一変させる力が有る。銀塩一眼レフはミノルタを使っていて、まだまだフィルムの方がダイナミックレンジが、とか能書きを垂れていたのだが、ついに踏み切ってデジ一眼を買ってしまった。ニコンのD50である。ニコンデジタル一眼レフカメラのラインナップの中では最も軽いモデルである。


・IXYで撮ったが、マクロに弱いIXYは、中央重点AFでもペンタ部に合焦させるのに苦労する。

マウントを変えることは決定していたので、機種選びには非常に自由度が有ったが、結局ホールド感で決めた様なものだ。小さく指が余るCanon KISS DNはこの点で最初に選択肢から外れた。あと、僕も年を重ね、Kissという軽い名前のカメラを持つ事にどうしても心躍らなかったというのは正直に告白する。

後はCanon EOS-30Dと、Olympus E-330との比較になった。銀塩のEOS-7sは、好きなカメラの一つで、しかも585gと軽い。7sの香り漂う30Dが600g内外で有れば、相当心揺らいだと思う。しかし30Dは700g。D50が540gだから、その差160g。ニコンとキャノンではストロボがニコンの方が25g軽いので、合計すると200g近い差になる。

僕はfotologなんていう大層なtagをブログに作ってはいるが、写真が趣味という程では無く、一眼レフを持ち出すのは主に海外を中心としたバックパッカー旅行の時という事になる。そうすると機動性が非常に重要で、重さにはシビアにならざるを得ない。うっかりすると隣町まで炎熱下を10数km歩くとか、太古からの原生林の中を数日トレッキングするとか、予想しえない事態に遭遇したり、エクスカーションにトライしたりという事が有り得るので、荷物は常に軽くしている。


・もの撮りは難しい。

新製品のシュラフで50g削ろうとか、ツェルトのポールはカメラの三脚で代用しようとか、バーナーをマルチフェエルにして、ガス缶分浮かそうとか、F1カーでも無いのに普段からあーだこーだと軽量化のネタを探している位だ。

よって、D50と30Dの200gという差には、うーんと考え込んだ次第である。片や50gに血道を上げているのに、もう片方でその4倍を増やすのはどうかというのと、200g有ったら、もう一つレンズか、バックアップのコンデジが持てるからである。30Dの方が確かに連射も良かったし、AFも速かったが、キリングポイントになる位、D50が劣る訳では無い。それならバランス的にD50が魅力的に思えた。同様の理由で、D200も落選した。ザクマシンガンの様な気持ち良い連射は官能的だったし、辺境に行く身としては防滴防塵というのも魅力だったが、重くて行動を阻害されるのは本望ではない。


・ついNIKONのロゴを撮りたくなる。これニコ爺の始まり。

E-330も良かった。最近地面すれすれで撮ったり、持ち上げて撮ったりというアングルにチャレンジしているので、ライブビューは極めて魅力的だ。

こちらの勝敗は殆どレンズの差である。35mm換算で27-300mmという高倍率かつ広角をカバーするレンズがフォーサーズ陣営にないというだけだ。軽量化の観点からは、旅行に持っていくレンズは一本だけになる。また、人里を離れて、広漠とした風景や澄み切った空を撮りたい時には、どうしても広角が欲しくなる。よって、選択肢から外したという次第だ。

そんなこんなでD50に決まった。実際使ってみると、ニコンの中では「ママカメ」的な位置付けながら、非常にグリップしやすく、オートフォーカスも十分速く、満足している。レンズは、とりあえずSIGMA DC 18-200mmのみを買った。これはTAMRONと比較して、合焦が速かった為である。純正VR 18-200mmは大人気だし、機能的にも魅力的だったが、残念ながら重過ぎた。レンズで300g重くするなら、僕はもう一本レンズを持つか、ボディでいいのを買いたい。レンズは買ったら買ったで、早速純正単焦点とか、Tokina12-24mmとかが欲しくなり、いわゆる「沼」にズブズブとはまりつつあるが、まずはこれで十分だ。機材より腕である。折角なので、4月後半から開講する写真専門学校のクラスを発見したので、これに参加してみようと思っている。

ゴルフもスノボもサーフィンも、いつも最初にスポーツを始める際はお金をきっちり払ってレッスンを受ける様にしている。その方が、確実に上達が早いからである。写真はスポーツでは無いが、基礎をきっちり学んでおくのは何にせよ悪くない。


・ミノルタは幾つか持っていたが、軽さを重視して、α sweet-IIだけを残した。αと比べると、D50は一回り以上大きい。

さて、30Dが出たばかりなのに、ネット上では、Canon APS-Cで30Dの上位機種の噂が出たり、なかなかカマスビシイ。また、近々松下やソニーサムスンもこの市場に参入するとも聞く。そうすると、必然的に一眼レフカメラ市場は、光学機器から家電の性格を帯びてくる。かつての数年に1度というモデルチェンジのサイクルから、夏冬のボーナスシーズン前に新機種をマイナーチェンジでもいいから出す、というサイクルに2,3年の内に様変わりしてもおかしくない。最小限の設備投資で新機種を出し、ボーナスシーズンに売り切って、投資を回収し、また新機種に注ぎ込む。売上をドライブするのは販売店インセンティブと広告宣伝。こういった家電のビジネスモデルに最も慣れていないのがニコンペンタックスだろうが、うまく適応できるだろうか。かつて、カメラに先んじて趣味の製品から家電になったオーディオの世界では、一握りの高級品メーカーを除くと、継続的に新製品を出して家電のルールに自らを適合させたデノン辺り以外は、老舗メーカーが軒並みダメになった。

オールドファンには嘆かわしい状況にカメラ市場もなりそうな気がするが、ジェネラルには、消費者の選択肢が増える、悩み深き良き時代とも言えそうだ。自分的には、30Dをもう少し軽くした中位機種が欲しい所だ。NIKON D70sの後継が、AFの精度と速度、ファインダー、暗部ノイズ、連射の機能を上げて、そこに位置してくれれば、相当買いなのだが。

折角今回Fマウントを選んだので、ニコンには頑張って貰って、次もニコンで行きたい。


[Canon IXY DIGITAL 500 36-108mm F2.8-4.9]