無策の先発

ブラジル戦の先発予想があちこちにでているが、大枠同じ様である。4-2-2-2で、柳沢が外れて玉田が入り、福西の代わりに稲本というのが大方の結論である。理由は、クロアチア戦の4バックが割と機能したからという所と、柳沢の大外しへの罰、福西のセットプレイよりも稲本の守備力への評価、という事であろう。
本当にこの先発だったら僕は頭を抱えてしまう。

  1. オーストラリア、クロアチアが3バックでブラジルに善戦した事への評価は?
  2. 90分4バックで攻め続けるのか?
  3. パスの受け手が居ない事への対応は?

この辺のファインディングス・問題意識に応えて居ない感じがするからだ。特に①は重要な様に思われる。オーストラリア・クロアチア共に運が良ければ引き分けには持ち込める様な試合をしていた。この最大の要因は、守備が機能していたことと、ゼ・ロベルトとエメルソンという鉄壁の守備的MFの頭を越す縦パス一本で前線が勝負できていたことである。守備が機能していた理由は単純である。オーストラリアが3-4-3、クロアチアが日本と同じ3-4-1-2で、3バック・ドイスボランチが共通しており、このアクシスの5人が、ブラジルのカルテット・マジコ(ロナウドアドリアーノ・カカ・ロナウジーニョ)を一人余らせて対応できていたからである。特にロナウジーニョはカカよりも引き気味のポジションだったので、通常は2人余らせて、ボールに3人行ってもフリーな選手を作らせていなかった。要は、2トップには3バックでマンマークという極めてクラシックなクローズドスタイルが機能したという事である。
一方で4バックは、アクシスが4人になり、ゾーンディフェンスで、かつドイスボランチの片割れである中田は攻撃的な選手である。守備は相当不安だ。2点差以上の勝利が必須という事だが、リスクを取って攻め続けた結果、2-6で負けたら意味が無い。
また、90分間ダラダラと攻撃的で有り続けていいのかというのも疑問である。僕は攻撃は一気呵成に出るタイミングというのがある様に思う。
あと、高原-玉田という2トップの性格である。11番同士であり、中盤が機能していれば、ウラを取れるメンバーではある。今回、日本は暑さも有ったが、終盤に明らかに中盤は息切れしている。また、ブラジルに圧倒的にボールを支配される中、ロングボールが多くなるなか、この2トップはヘディングに弱く、キープ力も無くてタメが作れないという観点では、適切な組み合わせでは無いだろう。特に玉田は、クロアチア戦でワールドクラスで無いことは露呈した様に思われる。ロビーニョやメッシ、サビオラの様に小兵でスピードのあるFWというカテゴリーは存在するが、アジアレベルでも彼のドリブルや足技で完全に崩した事はレアなのに、ワールドカップで通用するとは到底思えない。
僕は、最初は3-4-1-2で守備を固めた方がベターなチョイスと感じている。3-4-3の方が攻撃的だが、3-4-3のウィングは、3-4-1-2や3-4-2-1とは違ってゲームメイクが求められ、かつラインを相当コンパクトに保つ必要が有るため、急造では対応できないだろう。
そしてブラジルの足が止まってきた後半は4バックにして、4-1-2-3で攻撃的に行って、点を取りに行く。
フォーメーションを書くとこんな感じである。

○前半

                                          • -

   高原    巻
      中田
三都主 稲本 小野 加地
  中沢 茂庭 坪井
      川口

                                          • -

○後半(坪井→大黒)

                                          • -

       巻
  高原      大黒
   中田    小野
       稲本
三都主 中沢 茂庭 加地
       川口

                                          • -

前半は、3バックは左から中沢-茂庭-坪井。ヘッドのあるアドリアーノには中沢が付き、ヘッドが無く足技のあるロナウドロビーニョには坪井が付く。FC東京で4バックのセンターをやっている茂庭が一人余って、カカやロナウジーニョを見つつ、ボールをフォローする。稲本・小野でカカ・ロナウジーニョをマークする。前線はカウンター対応で、ヘッドのある巻と、シュートの打てる高原。ボールを奪った後、中盤の底からトリッキーなロングパスを出せる小野がゲームメイクをする。

後半は、4-1-2-3に変えて攻撃的に行って点を取りに行く。巻に当てて、2シャドーがこぼれ球を狙う。ブラジルも足が止まるので、中盤でボールが持てる様になるだろうから、大黒を入れて、ウラに抜けるボールを出す。流石に稲本一人でブラジルのMF2人見るのはきついので、より守備力のある中田浩二を入れて、下がり目でもプレイできてロングパスのある小野とカバーする形も有り得る。高原が息切れしてきたら柳沢に換え、パワープレイが必要になったら、加地に変えて高さと身体能力のある福西を入れて、前線に出してボールを当てる。今やイタリア代表のエースクラスであるルカ=トーニが居た時代のパレルモや、今ヴチニッチをセンターFWにしているレッチェと同じ攻撃的なシステムで、決して強いチームでは無いが、かさにかかると上位クラブ相手でもいい勝負をする。それをブラジル相手に狙えないか、という事である。

どうだろうか。最初から4-2-2-2でガチンコ勝負するより戦略的だと思うのだが。4-2-2-2はブラジルと全く同じフォーメーションである。同じ形でぶつかったら個人技に劣る方が負けるのが必然だ。そこをどう工夫して「選択と集中」するかが弱者の戦略だと思われる。

期待と不安を抱えながらキックオフを待つ。4時か。今日こそは仕事を早く終わらせて寝よう。

  • その他のW杯関連記事

○6/12 監督の差、体格の差。
○6/19 2トップ論
○6/21 リーダーシップ論
○6/23 2010年は弱くない。