守備。

亀田興毅は好きでも嫌いでも無いが、とりあえず盛り上がっているものは押さえておこうと、今日は試合を見に、早く帰ってみた。ただ、見終えて余りに不可解な判定に気分が悪くなっている。試合を見ていた人は誰もがランダエタの勝ちだと思っていたと思われる。ホームアドバンテッジというのがボクシングの世界にも有るのだろうか。「有効打」とか素人には判りにくい概念が存在するのかも知れないが、PRIDEやK-1など判り易い結末が多いガチンコ勝負を見慣れると、どうにも得心の行かない結末になった。
小泉首相同様、この小難しい世の中に判り易さでのし上がって来た亀田親子だけに、この判り難い結末は彼らの物語、今後のプロモーション戦略に響くだろう。次は判り易いKO勝ちを期待したい。

スポーツの話ついでに、僕がなる程ねと思った野球の分析があるので、それについて書いてみようと思う。スポーツナビで、データ分析の記事を書いている小野さんのものである。

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要は、首位中日は失点に絡んだ失策が非常に少なく、かつ相手の先頭打者打率が0.237と両リーグ1低く、先頭打者が出ても得点できる確率は41.7%とこれまた両リーグ1低い等、守りに優れるという話だが、これを下記の分析と併せて読むと、長い間野球を見ていたが、新しいインサイトが得られた。

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こちらは、相手のクリーンアップに中日は0.297の打率だが、6-9番の下位打線には、0.102しか打たれていないという話である。一方の巨人は、クリーンアップに対しては0.320とそれ程中日と変わらないが、下位にも0.257と打たれている。ちなみに両リーグ平均は、0.247なので中日の成績が抜群にいい。

総合すると、好打者の前に走者を溜めないというのが落合監督の基本戦術として有るという事である。相手の好打者にある一定程度の成績を残されるのは所与とした上で、その時の得点効率を下げるというトライだ。この有効性を実証するには、記事にある分析に加えて、得点が入った場合の平均得点数を見る事が必要だが、今有るデータからでもそれは容易に類推できる。下の記事が「下位打線を集中して抑える」というオブジェクティブであり、上の記事が結果として「下位打線が先頭打者だと出塁できない」「上位打線が出塁しても下位打線が返せない」というリザルトになっている。
また、下位打線を抑えろというのは言うに易いが、これを実現するアクションが充実したセットアッパーを用いた継投だろう。下位打線だからと言って、手を抜かずきっちりとフレッシュな投手で継投するというのが、落合監督の戦術の秘訣の様に思われる。
野球はホームランを打たない限りは、打線が繋がらないと得点できないスポーツだから、相手を分断すれば相手の得点は最少に抑えられるのは当然では有るが、それを下位打線というどのチームにも有る弱点に気が付いて、実際に結果を出したのは、落合監督が極めて非凡な証拠である。
僕はサッカーほど野球は好きでないが、敢えて好きなチームはと言われれば中日な為、中日の成績は毎年トレースしている。落合監督になってからは、チーム打率とか本塁打数とかの攻撃面では両リーグでも相当低位だが、投手力が良いので勝ってきた感じである。ただ、投手力がいいと言っても、例えば今の防御率ベスト30に入っている中日の投手は川上と山本昌だけで有るし、なぜこのピッチングスタッフで勝てるのか、ずっと不思議に思っていた(今年は、規定回数に僅かに足りないが、8勝0敗、防御率1.33という化け物めいた数字を残す佐藤が居るが)。それが、この所の小野さんの分析を見て、はたと手を打った次第である。要所を締めるというルースな表現が有るが、こういう余り知られていない改善レバーを発見して、知らず知らずに相手に勝つのが、まさに要所を締めたという事であろう。
さて、サッカーと同じく、野球も何故だか守備から見てしまう僕だが、ボクシングはと言うと、最も好きなボクサーは、ジュニアバンタム級元チャンプの川島郭志である。スリッピング・アウェイを用い、「守備でカネが取れる」と言われたボクサーだ。