川奈

 3月に忙しい合間を縫って川奈に行った。むろん目的はゴルフである。川奈ホテルは、98年のエリツィン-橋本会談が行われるなど、格式高いのは言わずもがなだが、ゴルフコースも、フジサンケイクラシックが開催されたり、日本からは数えるほどしかランクインしていない、USゴルフマガジン誌の世界TOP100に入ってきてたりと、素晴らしいコースである。ちなみに、僕は2回目で、初回が僕のゴルフデビューの時であった。もともとゴルフデビューした理由が、たまたま川奈でプレイできる機会が有った時、「デビューコースが川奈ってのは、教習所のクルマがフェラーリみたいなものかもしれない」と話のネタにしたかったからなのである。以来、寡黙なおじ様とご一緒する機会には、このネタ話を十二分に活用させてもらっている。
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[SONY Cybershot W200/ 105mm F5.5]

  • 花に満ちたホテルである

 僕の就職は平成10年で、その年は川奈ホテルの元オーナーである大倉事業や、グループの鉄鋼商社である大倉商事が破産した年でもある。原因はバブル期の不動産投資の失敗と言われている。平成10年は長銀日債銀が破綻した年でもあり、クレジットクランチの最中の暗いニュースの一つとして、この大倉財閥直系企業の破産は新人時代の記憶に残っている。ちょっと脱線するが、大倉財閥というと、大倉商事亡き後ホテルオークラ位しか名前を冠した企業が残っていないが、大倉喜八郎が関与した企業としてはサッポロビール大成建設日清オイリオに加えて、広義には東京電力まで、錚々たる面子となっている。
 いずれにせよ、川奈は不動産投資の失敗を原因とした親会社の破綻と共に大倉グループの手を離れたのだが、その後も紆余曲折あり、コクドが220億で引き取ったかと思えば、コクドは西武の粉飾事件後に解体され、プリンスホテルに吸収されて西武ホールディングス100%子会社となっている。その西武ホールディングスは再上場を目指すといいつつ、未だに実現されていないし、サーベラスと並んで主要株主であった日興プリンシパルは、一昨年粉飾の舞台となって日興グループはシティに買収された。ついでに、シティグループは、ご存知の通り、サブプライム関連や投資損失でのべ3.6兆円もの増資を仰ぐなど大変なことになっている。実に数奇な話であって、これだけ見ると、川奈があたかも呪われたダイヤモンド「Hope」の様で、さてシティに出資したサウジアラビアの運命如何に?と気になってしまう。また、この事件の連鎖をよく見てみると、要は投資の失敗と粉飾の連続であって、バブルから今までの20年と少しというのは、要はそういう時代だったのかもしれない。
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[SONY Cybershot W200/ 80mm F4.5]

  • ここはロビー。戦前の大人な雰囲気が好きだ。

 余談はともかくとして、コースは本当に素晴らしい。前回はデビュー戦だったから、訳もわからず必死に回っていたが、今回はその戦略性と難しさ、そして美しさ、あるいは静けさを堪能できる余裕はあった。腕は全然上達していないが、場数だけはこの4年踏んだと見える。とんでもない打ち上げグリーンが多く、冬芝だったこともあって、アプローチが散々であり、スコアはひどいもんだったが・・。普段行ってる千葉の平易なゴルフ場も楽しいが、たまにはこういうひと際高級なコースも気分転換には良い。
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[SONY Cybershot W200/ 53mm F7.1]