作例とまではいかないが、D700の日々。


Daikanyama flowers
[NIKON D700 /AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G /220mm F5.3 /D2Xmode1]

  • 代官山にて散歩中、あいにくの曇りだったが、花は鮮やかだった。今回初めてflickrに装備されたオンラインフォトレタッチのpicnikで若干レタッチしてみたが、普通に使える。

 ここんとこ休日もドタンバタンとしているが、なんだかんだとD700が吐き出すファイルの通番は、その型番である700と良い勝負をしている。フィルムなら20本である。この様に、フィルムでは考えられないペースで撮れるのがデジタルの良いところだ。そうやって1ヶ月半、ウォーミングアップ程度ではあるがD700をいじくってみて、僕は大変このマシンを気に入っている。とにかく、撮りたい瞬間を外さない、その一点に全てのコンセプトが集約された様なカメラである。この観点では、あらゆるカメラを凌駕しているのではないか、とも思う。
 まず、ボディ性能が高く、ストレスなく操作可能である。いま持っているか、或いはかつて持っていた、F100やD50・D80ミノルタ時代の銀塩αなどのカメラと比べると、ファインダーはF100の方が良かった気がするが、それ以外のカメラボディの性能は、D700が圧倒的に優れている。お店でさわった、Canonの5Dや、Sonyα700OlympusのE-3と比べても、D700の性能や操作感の切れ味は抜きん出ている様に思う。性能や操作感という言葉には、AF、ホワイトバランス、圧縮RAWでの連射、レリーズタイムラグなど、様々な要素があるが、どこにも全くストレスを感じない。特にAFは素晴らしい。D700のAFモジュールは、Multi-CAM 3500FXというが、これは北京オリンピックでプロのスポーツカメラマンが大挙として使っていた、D3と同じモジュールである。オリンピックアスリートを写せるAFモジュールに素人が不満はあろう筈がない。
 また、ISO6400まで画質をそう落とさず常用可能という高感度特性がこのカメラの最大の特徴であるが、この意義はいつも実感している。僕はカメラの主用途は旅の風景写真だから、銀塩時代はISO100のリアラをよく使っていたが、ISO100と6400の感度の違いは、シャッタースピードで実に6段分(当然ながら約2の6乗=64倍)の違いがある。ISO100の銀塩フィルムでは、望遠レンズなのに光量不足か絞りの都合で60分の1秒しかシャッタースピードが出ず、ブレブレで打率2割、みたいなシチュエーションによく追い込まれたが、ISO6400のデジタルは、同じ光量・絞りでメカの限界に近い4000分の1秒が切れてしまうのである。この圧倒的な高感度特性は直近のNIKONデジタル一眼レフが誇るところであり、デジタルならではのメリットである。実際には、ISO感度オートの設定しておけば、そこまで感度アップせずに、画質と適切なシャッタースピードがバランスする所が自動で選ばれるのだが、この機能が結構賢くて、割とオート任せで行けるのも良い。

Motoazabu Flowers
[NIKON D700 /AiAF Nikkor 24-85mm F2.8-4D /35mm F3.2 /D2Xmode1]

  • 元麻布の暗い花屋と言えば場所は判るだろうか。知る限り日本で最もエッジが立った花屋である。実際物売りの場所としては有り得ない位真っ暗だったが、D700はISO1400、1/30秒で手持ち一発である。2段ISO感度上げれば、昼間の様に撮れる。

 ただ、細かい画質について言うと、おおむね満足はしているが、満点ではない。例えばD700は、RAWと呼ばれるセンサー出力の生データに近いファイル形式ならともかく、そこからデータを間引いたJPEG出力で比較すると、3年前に出た同じ1200万画素、フルサイズセンサー搭載のCanon 5Dの方が若干画質が好ましかったりする。これは、D700搭載ののJPEG変換エンジンがイマイチだからである。また、この前発表されたSONYα900は、上代30万円そこそこと、D700とほぼ同様のお値段で、2400万画素という高画素を実現し、高感度はISO800でもうアップアップだが、低感度では抜群の高精細さがある。D700は、デジタル一眼レフの中では高レベルだと思うが、その高レベルの争いの中では、他の機種に一歩譲る面は否めない。
 それでも、僕が他の機種を選ばないのは、D700が撮りたい瞬間を最も外さないカメラだと感じているからである。動きの速いものでも、遅いものでも、明るいところでも闇の中でも、或いは連射で動きを表現したいシーンでも、複雑な光源のシーンでも、考えられるあらゆる特異な場合において、D700がもっとも高い確率で「ちゃんと撮れる」カメラである様に思う。画質の最後の一追い込みより、チャンスを逃したり、AF外したり、ブレたりしない方が重要ということだ。欲を言えば、旅とか山とかを考えると、もう少し軽い方が「撮りたい瞬間を外さない」という観点では良いのだが、これはボディ性能との引き替えということと、D3よりは大分軽いということで、仕方のない部分だろう。
 光量の十分なスタジオで構図を追い込んだり、決まったポイントに三脚据えて、じっくり鉄道を追ったりするなら、違うカメラが有り得るだろう。僕はそういう使い方はメインでは無く、カメラのフィールドは住居のある代官山から遠くアフリカまで幅広い。屋外を歩き回り、基本手持ちで、被写体は突如・偶然出現する。燦々たる陽光のアフリカで、あるいは秋雨の暗い東京で、遠くから僅かな人の仕草を狙ったり、地元の建物を撮ったり、動いている文字通りジャンピングバスの中から窓の外の絶景を記録に収めたり、草サッカーを追ったり、トレッキングに出て手持ちで山水を撮ったりという使い方だ。こんな持ち歩き派にとっては、D700は最高の打率を約束してくれる、最高の相棒だと思う。



Ebidaikan2
[NIKON D700 /AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G /85mm F4.5]

  • 代官山のレストラン。思い出してみると、麻布十番は内装は凝っている店は有ったが、オープンの店は少なかった。

Sky
[NIKON D700 /AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G /98mm F4.5]

  • やっと三連休晴れた。日が傾いた頃合いである。

Okura
[NIKON D700 /Ai AF-S Nikkor 17-35mm F2.8D /35mm F5.6]

  • 誰も見ていない天井にお金かかってそうなホテルだった。この17-35/2.8は、735gとカタログ上はさしたる重さでは無いのだが、重量バランスが先によっているのか、持ち歩くとずいぶん疲れるレンズである。でも寄れる広角は貴重だ。

Ebidaikan
[NIKON D700 /AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G /70mm F4.5]

  • 外は灰色のビルだらけだが、ボカすとそれなりに見えてしまうのが不思議。