陸マイラーとネットサーベイ

 過去の2エントリにある通り、妙なクレジットカード調査熱が一瞬燃え上がって、この瞬間だけヲタク化したが、もう飽きた。ただ、その過程で陸サーファーならぬ陸マイラーなる存在を知った。飛行機に乗ってマイルを貯めるのではなく、カードとか物販サイトのポイントを貯めてマイルにトランスファーすることを、ある種趣味にしている人々である。僕もこれからその一員ということだ。
 それで、その陸マイラーの方のウェブサイトを何サイトか回ったが、共通してマイルを貯めやすいと推奨していたのが、マクロミルという会社のサイトである。マクロミルは、ネットサーベイの大手の一角で、陸マイラーは、アンケートに答えるとポイントがもらえて、それがマイルにトランスファーできる仕組みだ。
 経営コンサルタントであれば、こういうネットサーベイは馴染みがある所だろうが、バイアウトファンドも結構使っている。コンサルタントにお願いするまでも無い小さなイシューで、何らかのビジネスディシジョンが必要な際や、コストの掛けられない小さなプロジェクトの時に、安いコストで数千人単位のコンスーマーサーベイが相当クイックに出来るからだ。ただ、便利なツールでは有るのだが、果たしてネットサーベイと一般消費者のデモグラフィーは同じと見なして良いのか、という点は毎回疑問ではあった。というか、3日で3,000回答とかが集まるのだが、一体どういう人がこんなに熱心に20問とか30問の細かいアンケートにネットで答えてくれるのか、そこに実感が無かったのだ。それが、今回のサイト巡りで、疑問は氷解である。「こういう人々が回答者だったのか!」と目からウロコが生えてもげて大変な状態になったが、実に良く理解できてしまった。
 しかし、これまで余り厳密性は求めずに来たのだが、現実に陸マイラー達がネットサーベイの母数の中にかなり混ざってそうな事が判ると、疑問は少しふくらんでくる。むしろ、一般の消費者とネットサーベイのユーザーはズレていて、結構ユーザーユニークネスがあると考えた方が良いのだろう。ネットサーベイのユーザーは、コツコツと小さいマイルをアンケートを積み重ねて答える陸マイラーが多く含まれる母数であるから、言うまでもなく、価格センシティビティは高く、情報感度が高くてプロアクティブであると思われる。また、利便性を重視し、ブランドスイッチングを躊躇しない傾向もあるだろう。イノベーター理論的には、アーリーアダプターが多いかもしれない。
 ネットに限らず、コンスーマーサーベイにかける典型的な問題は幾つかあるが、例えば、価格センシティビティ分析や、新機軸を打ち出した商品の売上予測とかはネットに出すにはリスクが高い調査だと思われる。既存の商品やサービスを値下げしたらどの程度客が取れるかとか、新商品の競合比のプライス・サービスレンジはどこが適切とか、或いは今までに無い商品だが、どの程度の消費者が理解してくれるのかとか、そういった分析だが、母数がネットサーベイだと、より消費者は価格に影響され、新しいものに抵抗感がない傾向が出てくるだろう。
 まだ、ネットサーベイの結果を信じたが故に、値下げの効果が思ったほど出なくて、固定費賄えず実質自爆テロになってた、なんてきつい経験はしていない。だが、ネットサーベイの特性としてレガシーチャネルの商品とは母数集団の性格の違いがある以上、この違いをどう解釈すべきか、業務上真面目に考えなければいけないだろう。まだそういう説明を受けたことはないが、ネットサーベイ会社から、そのリアルとネットの母数の違いを補正する係数とかが、定点調査を元にリバイスされてます、とか呈示されたりすると、「判ってるね〜」という事で、今度その会社使おうか、という気になるかもしれない。我々ファンドやコンサルタントの様なサーベイマニアにしか受けず、多分一般受けはしないプレゼンではあるが・・・これこそユーザーユニークネスの極致である。


[Softbank Mobile 920P /F2.8]

  • 夕焼け?いや、夏の残業朝焼けであります。この携帯カメラはよく写るが、若干緑カブリするので、そこはソフト補正して、コントラストを軽く上げてみた