1日目。成田→LA

 今年も12月は忙しかった。師とまで偉そうな身分でもないのに、走ってばかりいた。昨年も忙しかった。その前は、ハプニングに追われ、さらにその前はディールが佳境だった。2004年は仕掛った話は幾つかあったが、比較的ましだった気もする。ただ、その前はやはりディールに追われ、更にその前はと遡ると、前の会社を辞めた月である。とりあえず12月は忙しいものらしい。
 ブログも暇を見つけてエントリを書き出してはいたが、テーマが「金融社会主義とは」とか、重かったこともあって、考えがまとまらないまま、まだ「下書き」の中に入っている。腰を据えて考えてみたいテーマが溜まったから、という訳でもないが、今年も年末年始は旅に出ることにした。ブッシュ時代の最後ということもあって、ベネズエラキューバという反米な諸国を廻ろうと思っている。権威主義的、あるいは社会主義そのものの国で金融危機を振り返るのも悪くはないだろう。
 さて、旅行に出るとなると、まずはギアを揃えたくなるのは、僕の悪い癖である。今年も荷造りをしていたら、高価なゴアテックスのウルトラライトツェルト(重量200gの超軽量テントである)が出土したが、正直いつ何の為に買ったのか覚えていない。たぶん、アンデスは標高5000mを超えた時か、或いは実現はしなかったがアフガン・パキスタン辺りに行こうとしていた時に、カイバル峠、あるいはクンジャラーブ峠対策に買ったのだろう。
 今回は、日本で通しを買うと高いので、LAまでetourで格安だった大韓航空で行き、そこからexpediaで別にブックしたチケットでベネズエラに入るという、e-ticket時代万歳・円高万歳なルートである。よく考えると、冬の日本とLA、或いはカラカス周辺のアンデスと、真夏の低地ベネズエラキューバが混在し、かつ埃っぽそうな諸国を行く、なかなか旅装的には難しい旅程である。なるべく軽くて暖かく、かつ洗えるアウターがベストである。ダウンジャケットは軽くて暖かいが洗えない。ゴアテックス系は軽くて洗えるが暖かくない。フリースは悪くないが、暖かさは然程ではない。という訳で選ばれたのがユニクロのエアテックのアウターである。これは軽くて暖かく、しかも洗える。衣類収納袋に入れて空気を追い出せば収納もコンパクトで完璧だ。また、バックパッカーとしては時計にも拘りがあり、目覚まし機能があって、防水で頑丈で、かつ高級ホテルでも見劣りはするが、恥ずかしいまでは行かず、しかしいざという時は悪党に渡しても惜しくないお値段、というのがベストだ。これまではシンガポール航空の機内販売で買ったティンバーランドのを使っていたが、バンドが痛んできてしまった。この時計は、防水加工レザーというバンドに、見栄えも耐久性もあるという、最大の価値があったから、今回うっかり新人を迎えてしまった。TISSOTのT-TOUCHだ。これは文字盤がタッチパネルになっていて、コンパス・高度計・温度計などがタッチパネルで操作できるという優れものだ。それなりのレストランやホテルでの見栄えは諦めて、TIMEXのexpeditionか、Suuntoのcoreかかと最初は考えていたが、実際触ったみたらガジェット感バリバリのT-TOUCHに転んでしまった。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 57mm F2.8]

  • 噂の新人二名。アウターと時計。

 また、機材軽量化を推奨する僕としては、カメラについても、クソ重いD700には留守居役を申し付け、新人D90をデビューさせることにした。判断の分かれ目は、VR18-200の代わりをFXで探すと二本になってしまい、レンズの重さが倍にもなる所であった。VR18-200はテレ端が甘いとか、歪曲がひどいとか賛否両論あるものの、便利レンズとしてはやはり素晴らしい。DXは、重さとパフォーマンスのバランスでは非常に均衡のとれたフォーマットであることを再認識した次第である。レンズは結局、VR18-200、SIGMA10-20、35/2Dの三本で、スピードライトは、ポートレートは余り取らないので、やはり重いSB-900は置いて、SB-400とした。超広角から望遠、明るい標準まで揃えて、これでいい写真が撮れなければ、あとは腕の問題であろう。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

 さて、旅の最初の難関は大韓航空である。10年ちょい前、猿岩石がアジアを歩いていた頃にバックパッカーになった人々なら、必ず記憶に残っているのが、この航空会社の飯のまずさである。悪名高いノースウェストと評価的には世界を二分していたのでは無いだろうか。僕も何が不味のかは記憶にないものの、大韓航空と言うと、飯が不味いという連想だけが蘇ってくる。もしかしたら、おそろしいことに不味くて記憶を失い、トラウマだけが残っている状態なのかもしれない。
 大韓航空バックパッカー界でポピュラーだったのは、LA路線が格安だったからである。チケットは安い方から選ぶ以外に選び方を知らない種族がバックパッカーであるから、西半球に行くには、まずはLAまで大韓航空、という経験をした人は多かった。なぜ安かったかと言うと、航空保険に当時は入っていなかったから、という噂があったが、さすがにそんなことは無いような気はする。政府の援助でもあったのかも知れない。一時期、ヴァリグ・ブラジル航空も負けず劣らずLA便は安かったが、ここは最近日本に飛んでいる話を聞かないから、撤退してしまったのだろう。今も昔もLA単純往復最安値には大韓航空が君臨している。同様の観点で、バンコクや香港に、エバー航空の次くらいの格安直行便を飛ばしていたノースウェストもバックパッカー使用率が高かったのだろう。昔から何回となく、旅の知り合いと大韓航空とノースウェストの悪口で盛り上がった気がするし、その話が通じなかった覚えもあまり無い。
 ここまで引っ張った、その注目の機内食であるが、なんと今回はbeef or chicken?で無くて、ビビンパプである。味の方は、なんと不味くなかった。自国のものだから不味く作りようが無いのかもしれない。美食の国ベトナムでもサンドイッチ食べると不味いのが普通だから、固有の食の歴史を持つアジアのエアラインは無理して洋食作るよりも、自国のものを出した方が良い結果が望めるのかもしれない。ただ、日本路線の寿司だけはやめてほしいが・・。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 44mm F2.5]

  • 左の温かいごはんを右の器に入れる。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • そして、チューブ入りの焼きコチュジャンで混ぜる。誰かの歯磨きセットに混入させたい一品である。

 せっかくのB777-200であるが、機内エンターテイメントは全く無いに近いスパルタンな大韓航空である。Video on demandが完備されているエミレーツはえらい違いだが、まぁ基本寝てるだけだから無問題である。食事のあとは、特に面白いこともなくLAには着いた。今回の航空券は、etourで予約したのだが、ホテルも予約すると安いでっせと表示されたので、そのまま操り人形のようにホテルも予約している。Millennium Biltmoreというダウンタウンのホテルだったが、数十ドルの追加で予約できたホテルにしては異様に豪華である。ニューヨークのクラシックなホテルともそう見劣りしないのでは無いだろうか。ファシリティは古いが、欧米の石造りのホテルに泊まるなら、古い方が雰囲気は出る。水道がきちんと止まるクラシックホテルなんてつまらんのである。etourおそるべし。
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[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • 日本でも、こんなに豪華なホテル、あんまり見ないかも。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • そういえば、クリスマスでしたな。

 LAではする事も無いので、一日の最後の楽しみは夕ごはんだが、アメリカのクリスマスは休日である事を改めて実感することになった。ホテルのメインダイニングも早々に営業を切り上げ、街はファストフードすらやっていない状況である。繁華街に行けば何とかなるかも、と思ってサンタモニカまでハンドルを握ったが、ここも人影はまばらだった。ただ、辛うじてLAGOというイタリアンはオープンしていて、選択の余地なく、ここに転げ込んだ。LAは、2007年からミシュランが出た様だが、ここはその星付きレストランらしい。ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブションの様なオープンキッチンだったので、思わずまじまじとシェフを見てしまったが、ほぼ全員「ホセ」「サンチョ」といった風情のヒスパニックである。イタリアーノはサーブしてくれた人とオーナー位かもしれない。ただ、ヒスパニックが作ったイタリアンも悪くはなかった。東京で星が付くかと言われると、東京のイタリアンはレベル高いから、ちょっと微妙かもしれないが。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • クリスマス・スペシャリテの第二皿。チーズ入りニョッキのオーブン焼き。なかなか旨い。

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[Panasonic LUMIX LX3/ 24mm F2.0]

  • イタリアのクリスマスのお菓子、パネトーネ。量はアメリカンサイズ?

 明日は休日明け。買い物か、ワイナリーでも行こうかしらん。さて、今日貼った写真、思惑通り大変綺麗に撮れ、かつ打率も高かったのだが、これを撮ったのが、もう一人の新人かつ、ギア散財の結果であるPanasonic LUMIX LX3である。玄人受けする機種なのは間違いない。僕もF2.0という近頃ない贅沢なレンズに心動いて、DP2がなかなか出そうに無いので、先に買ってしまった。
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[NIKON D90/ AF-S Nikkor VR18-200mm F3.5-5.6/ 142mm F5.3]

  • コンパクト機と比べればでかい。F2.0だけあって、レンズも迫力がある。

 欠点はレンズが明るいせいか、AFがちょい遅いのと、レンズキャップで機動性がイマイチな所くらいで、画質はやっぱり素晴らしい。いつも使っているCybershot W300も、小ささと画質のバランスは最高レベルだと思うし、常用可能なISO400や手ぶれ補正実感3段とか、LX3と競っている部分もあるが、画質を比べてしまうと、クラスが違うせいか、ふわっとした大きなボケも、透明感があってクリアな発色も、LX3がW300を相当上回っている感じがした。LX3は、一眼レフでは無い、コンパクト機の中では、CanonのG10やRICOHのGR Digital2とかと画質番長グループを形成しているのでは無かろうか。
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[NIKON D90/ AF-S Nikkor VR18-200mm F3.5-5.6/ 120mm F5.0]

○追伸

  • たまに商品名とか、「バックパッカー 時計」とかを検索ワードにして飛んでくる方がいらっしゃるので、リンク貼っておきます。Amazonリンクのタグ、かなり久しぶりに使ったかも。

SUUNTO(スント) Core Aluminium Brown S01331901J 【日本正規品】

SUUNTO(スント) Core Aluminium Brown S01331901J 【日本正規品】