Cobraとプーマ統合

 ゴルフクラブメーカーのCobraを、スポーツ総合メーカーのPumaが買収する様だ。

フォーチュンブランズ、コブラブランドをプーマに売却で合意
 アクシネット(タイトリスト、フットジョイ、プーマ)の親会社、フォーチュンブランズは3月10日に同社が持つゴルフブランド、コブラをプーマ社(PUMA AG)に売却する最終的合意に至ったことを発表した。このコブラの売却には関連在庫、知的財産、プロ契約なども含まれている。

○出典:Alba.net

 Adidasテーラーメイドを買収したのと同じ構造である。ただ、Adidasケースは、おっさん臭かったかつてのテーラーメイドを、大分マーケティング投資をして、今みたいな若者向け代表ブランドに価値向上させたが、Cobraはもともとアクシネットの中では若者向けブランドだから、ブランドの志向性のマッチングは元来良いと思う。ちなみに、AdidasとPumaは共にドイツのメーカーだが、靴職人の息子兄弟がダスラー兄弟商会というのを作ったのを共に源流とする。実は、この兄弟が戦後大喧嘩をして、兄ルドルフの会社がPumaになり、弟アドルフの会社がAdidasになったのである。アドるふ・ダスらーだから、アディ・ダスとは、サトエリみたいな会社であるが、ぶっちゃけ今回の買収は、兄の眷属が再び弟に喧嘩を売りに行ったということだろう。
 ただ、総合スポーツアパレル&シューズメーカーのPumaやAdidasが、特定のスポーツであるゴルフギア事業を別ブランドで傘下に収めても、判りやすいシナジーは余り無く、割とフワフワした話にならざるを得ないと思う。消費財マーケティングの質を上げることによる売上サイドの効果、メディアのバイイングパワー拡大、及びスポーツ小売などのチャネルへのバーゲニングパワー増大による卸値改善位しか思いつかない。中でもタンジブルなのは二番目のメディア購入コストの削減位だろう。
 一方で、タンジブルでは無いが、残った2つの内、マーケティングの質については、テーラーメイドは確かにAdidas傘下になって良くなったので、フワフワしてるが当たれば大きい可能性はある。実際、Cobraを持っていたフォーチュンブランズという会社は、ゴルフギアの他にはカナディアンクラブやJIM BEAMなどの蒸留酒と、家庭用防犯用品などのブランドを併せ持つ消費財コングロマリットだが、ゴルフギアと蒸留酒のチャネルシナジーは、クラブハウスのバーカウンター上でしか無さそうで、もともとマーケティングシナジー的意味合いしか無かったのだろう。それでも、一つのグループを形成できていたのだから、P&Gの様に、プリングルスからパンパース、マックスファクターまで、コンスーマーマーケティングというのは共通の手法で成功できる世界なのである。
 話はマーケティングからプロダクトに移るが、Cobraのクラブは知られているが、持っている人は余り見ない。日本ではそれ程メジャーでは無いと思われる。ただ、ユーティリティのバフラーは非常に出来が良く、セットものからの脱出を試みる若い人にユーティリティ何がいいっすか、と聞かれたらコスパの意味でまず勧める逸品である。また、S9-1 Pro-Sというドライバーは半年位前に1万円台の捨て値で売っていたので買ってみたが、323gという超重量級でフェース2度オープンというスーパーハードヒッター仕様だったのに意外に振り易く、飛んで曲がらないので寒くなるまでは一時エースドライバーであった。日本で今売れてるクラブは、ゼクシオにしてもViQにしてもインプレスにしても、長く軽くして、ヘッドスピードを上げて飛ばす方向に横並びで驀進しているが、これは振り遅れを必ず誘発する。最近の日本のクラブが、どうもスライスして合わないと思っている人は、短く重くして重量で飛ばすアプローチのCobraやマックテックを試してみてはどうだろうか。その方がアイアンに近いイメージで振れるだろう。
 Cobraのプロ契約で一番有名なのは、石川遼がファッションを真似るイアン・ポールターだろうか。あとはカミロ・ビジェイガス、日本人では馬場ゆかりがプロ契約をしている。一方のPuma Golfアパレルは、かわい目のデザインで僕も何着か持ってるけど、リッキー・ファウラー(あの帽子欲しい!)や古閑美保が契約プロである。アメリカ的に何でも売れそうなデザインには対応するAdidasと違って、Pumaはデザイナーズブランドの手法をスポーツアパレルに持ち込み、かなり世界観を作り込んでデザインに独自性があるので、この好き嫌いはあるかもしれない。

あの帽子↓↓

 しっかし、Pumaはピューマってことで、Cobraは勿論蛇だから、種の交雑は心配だ。新社名は、Pumaを猫科大型動物と捉えれば、蛇と統合すると、ヤギの胴ながらライオンの頭、蛇の尾を持つギリシャ神話の怪物から名前を借りて「キメラ」か。或いは、エジプト神話に出てくる蛇の頭を持ったライオンであるセジャという選択肢もある。また、Pumaをピューマ渡久地と捉えれば、蛇と人との統合である。ギリシャ神話に出てくる蛇女のラミアはどうだろうか。ラミアの母はリビュエー。そう、リビアの国名の由来である。あれ、話がずれた。