ホイアン

 ハノイを離れて中部のホイアンに向かうことになった。夜汽車で行って、飛行機で帰るいつものパターンである。ディーゼル2連、客室は4人コンパートメントである。ヨーロッパで言えば、二等寝台相当と思われる。ホイアンには鉄道駅は無いので、中部最大の産業都市であり、ベトナム戦争においてテト攻勢の主な舞台となる近隣のダナンに行き、そこからバスで1時間かけて移動することになる。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • コンパートメントの古い金属製の座席番号表。1番と2番が下、3番と4番が上である。外国だと寝台は上の方が気分が楽である。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • チケット。昔ベトナムに行った時は、日本で言うところの所謂「硬券」だった気がしたが、今やオンライン化されたデジタルの匂いがする。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • 「世界の車窓から」的カットを狙って撮った。長大な車列がベトナムのジャングルを貫く。これは、客車廊下の窓を開けて撮ったのだが、すぐキツそうな女性の車掌に見つかり、無言でがちゃりと窓は閉められてしまった。今回初めてベトナムの社会主義的対応を感じた瞬間だった。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • ダナンで食べた鰻のスープ。やたら滋味深く、薬膳の様な深い味わい。鰻は蒲焼に肝吸いだけでは無い。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • ホイアンは安土から江戸初期の日本人商人と、中近代を通じて南シナ海に君臨した華僑が作った貿易の街である。東南アジアにしては、余り華僑の存在感のないベトナムだが、この街に限っては中国より中国らしく、中華テーマパークの様な雰囲気である。街は中国風の灯りで埋め尽くされていた。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • ホイアン三大名物のホワイトローズ。海老の茹でたのをライスペーパーに包んで蒸してふっくらさせたものである。昔似たようなものをフエで食べた気もする。もの凄く美味しいという訳では無かったが、手間暇かかった味だった。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • 同じくホイアン三大名物のカオラウという太麺。正直、これは味的には見るべき所が無い。日本で例を挙げるならローメンに似ている。この伊那名物は、伊那に行く奇特な旅行者は、おそらく必ず食べることになるが、ソース味でブツブツ切れる太麺は決して美味しくない。ただ、これが伊那名物であるからには食べなければいけない気持ちになると、カオラウはそういうポジションである。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • 土産屋。この街は観光地だけあって、デザインも近代的である。こういう、ローカルネタでかわいいキャラ作るのは日本っぽいとも言える。近隣のダナンは、県民所得が$2,000を超えたというニュースを滞在中に見たが、日本の10分の1以下の所得なのに、こういったキャラの洗練度は余り変わらない様な気がする。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • 僕が考える「中華風」を漏れなく作ってみました、という感じの灯り屋。

Modern China
[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • カイ・シルク(Khai Silk)という大手シルク屋がプロデュースした、VINH HUNGという名のホテルに泊まった。カイ・シルクのシルクストールは日本でもそこそこ持っている人も多いと思う。古い華僑の家を改造したもので、雰囲気があり、デザインも洗練されたホテルである。全般に灯りを落とし、陰影を強調した建物だったが、部屋も電気をマックスに付けてもかなり暗い。ホテルは石、旅館は木というのが日本人に刷り込まれた固定観念だが、木のホテルというのもいいものだ。

Rice shower
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • 収穫の季節。笊からベトナムがこぼれ落ちていた。

Everyday trip
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • 海の恵みは昔ながらに釣りによって収穫される。

Josei-shi
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • 暇だったので、クレアトラベラーあたりに、「ホイアンほっこり休日」とかのキャプションで掲載される写真のテイストを極限まで追求してみた。国内一のリゾートグループであるVictoriaのホテルのカフェにて。

Mariage
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • リゾートホテルで、ベトナム人カップルがこれから結婚式を挙げる所だった。女性はアオザイに着替え、ヘアメークさんが髪を整え、ウェディングプランナーの人がバタバタと走り回っていた。既にベトナムは結婚式が高度に産業化される段階に入っている。

Vietnamese sandwitch
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • ベトナムのサンドイッチ。フランスパンにコリアンダ等の香草、レバーのパテ、シャンボン・クリュ。宗主国フランスとベトナムの食文化がシナジーを出している。

Niku
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • 肉屋ってのはどこの国でも洒落っ気の無い職業である。だが、ホイアンの市場で見つけた肉屋の店員は、かつて僕が出会った肉屋の中で最も小綺麗にしてる人だった。

Asian fish culture
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • 目に力が残る新鮮な魚。ふと釜山のチャガルチ市場を思い出したが、淡水魚から海水魚までのバリエーションはこちらの方が豊富かもしれない。

Spicy
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • そういえばホイアンは海のシルクロードの重要な中継港だったことをスパイス見て思い出した。人間は肉を美味しく食べたくて世界を開拓していった。日本人はそのムーブメントの参加者では無く、スパイスでなく醤油で魚を食べる民族だった。ベトナム人はそのムーブメントと交易はしたが、スパイス文化は受容せず、ニョクマムで魚と鶏を食べ続ける民族だった。

Peaceful
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • あどけない顔のティーンと思しき白人バックパッカーの首もとに輝く和平。これから彼女は、どの様にこの和平と向き合って長い人生を生き抜くのだろうか。いや、チミと和平するのは確かにやぶさかでは無いのだが。

Fruits
[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • マンゴスチンの季節だった。旬のものは何でも、つややかに光る。

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[Fujifilm Finepix F200EXR]

  • ホイアンについて、デザインが良いとか洗練されているとか言ってみたものの、生活必需品の水はもの凄く素っ気ないデザインなのが面白い。APが何の略なのかも見当が付かない。背景は苦力に運ばせたデスクトップ。。では無くて、部屋に備え付けのネット閲覧設備。

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[NIKON D90 / TOKINA M35 35mm F2.8]

  • 中国人は赤が好きだよな。根っからの商人の民族なのに共産主義を受け入れたのは、色の相性が良かったからだろうか。

 はてさて、ホイアンはキャラが立ってるので、2日位をつぶすには良い街だと思う。街自体が世界遺産だし、近隣にはミーソン遺跡というチャンパ文明の世界遺産がもう一つある。外国人旅行者も多い。ベトナム人より多いくらいである。チェンマイジョグジャカルタ、陽朔。こういった外国人旅行者が好む街はアジア各地に点在するが、ホイアンもその一つだ。日本だと京都はやっぱり外国人旅行者が抜群に多いと思うけど、ちょっと都市としては大き過ぎるので、金沢か倉敷、或いは萩あたりの中小都市か都市の一角を、より日本らしくリノベして、外国人の旅行需要に対して売り出してみたい。