すかいらーくの再生

 野村プリンシパル・ファイナンスすかいらーくをEXITして、米系のベイン・キャピタルが新スポンサーとなるディールが2600億で成立しそうだというニュースが流れた。2006年に野村PFがすかいらーくを買収したディール時にブログエントリを書いて、その後、ニュースで知る位しかフォローしていなかったが、どうやら2008年に行った経営陣と財務のリストラは功を奏したようだ。この年に、野村PFは創業家の横川社長を解任し、追加資金も入れて財務を立て直し、ガバナンスを強化している。

 当社がウェブサイトに公表している限りある数字だけでも、グラフ化したら一目瞭然である。言葉を尽くす必要もあるまいし、これ以上ちまちまとリバースエンジニアリングして楽しむのは個人の愉悦という事にしておく。勿論、2008年はリーマンショックの最中であって、そこからマクロ環境は回復しているという追い風は有っただろうが、自動車みたいな高額の消費財とは違って、外食にはマクロ環境の影響は大きく無いだろう。創業家が退陣し、社名でもあり認知率ほぼ100%であろう、伝統あるすかいらーくブランドを廃止して、ガストやグラッチェガーデンズに変えて再生する。PEファンドにとって、価値創造の源泉の一つであるエージェンシーコストとは何か、或いはすかいらーくという企業の本質的な価値は何だったのか、という事を考えさせられる再生事例である。今後は、シュリンクして勝ちパターンを作った後のグロースが課題なのは、グラフからも読み取れるし、新聞メディアもその辺りを指摘している様だが、シュリンクとグロースの中身が本質的に似通っているのが、こういうチェーン展開する企業の特徴でもある。
 さて、企業価値が2600億という数字が事実だとすると、ネットデットが1000億弱だから株式価値は1600億強である。野村PFは当初に1000億、追加で400億投資とニュースにはあるから、協調投資家も考慮した現在の持分にもよるが、金融危機をまたいだディールとしては、上場株がメタメタな中で踏ん張った結果の様に思われる。欧州金融危機流動性クライシスもいいけど、そこからややリモートで、震災の影響も見極めつつある日本では、そろそろ"M&A is back"なのかもしれない。