飛行機とゴルフ

 ときおり、ゴルフ場の上を飛行機が、轟音を立てて飛んでいく。人口稠密なる地域の周縁で、飛行場とゴルフ場は空き地を争うからである。成田空港は、三里塚カントリークラブと農地を潰して作り、前者は代替地に移転し、名門鶴舞カントリー倶楽部になった。
fly and turf
[Casio EX-FC100 / 37mm F8.5]

  • 富里GCの複雑な地形は美しい。その上を軽やかに飛ぶ飛行機を僕はピッチングウェッジで迎撃する。

 成田は横風用滑走路が無いという、ハブ空港にあるまじき欠陥品だから、飛行機は北風の時には南から、九十九里浜を鉛直方向に進入し、離陸する時は利根川方向に出ていく。南風の時には鹿島沖から列島上空に入り、霞ヶ浦を渡って江戸崎でターンし、利根川を鉛直方向に北から進入し、離陸時には九十九里浜に向かう。つまり、風向きによらず、特定のゴルフ場は、常に飛行機を仰ぎ見ることになる。


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 この地図を見れば明らかであるが、京カントリーや芝山GCグリッサンドは進入経路の真下に惑星直列みたいに直線的に並んでおり、B滑走路が出来て、これまた惑星直列状態の成田GCや富里GC、イーグルレイクも進入経路に含まれることになった。さっぱり出来る気配のない横風用C滑走路が本当に完成すれば、大栄CCもそうなるかもしれない。騒音が気になって集中できないタイプのゴルファーはこういった、東関道や千葉東金道路周辺のゴルフ場は避けるべきだが、逆に乗り物オタクのゴルファーは、こういうゴルフ場では独自の楽しみ方があるかもしれない。
 オタまで行かないと思うけど、乗り物好きなのは間違いない僕は、後続組にはスロープレイと罵られているかもしれないが、ふとした瞬間に写真を撮って楽しんでいる。ゴルフ場の写真と言えば、井上誠一設計のクラシックなゴルフ場の写真を集めた有名な写真集がある。だが、これはプロの作品ながら、僕はどうにもそのワビサビ感というか静物感がずっと趣味で無かった。それが、自ら飛行機みたいな動きものを構図に入れて撮って初めて、ああ、ゴルフというのはスポーツだから静物感に違和感が有ったのか、と思い至った次第である。
Dusk flight
[Casio EX-FC100 / 83mm F4.1]

  • イーグルレイクGCにて、月の下、森の上のフライト。