普天間ってみんな解決策もってんの?

 鳩山首相普天間問題でボコボコになっている。主な批判は、

  • 解決していないこと
  • 発言が揺らいでいること

 の2点だと思うが、政治というか、大人というものは結果だけが問われる世界なのは重々承知の上で言うけど、じゃあ批判する人々は対案を持っているのだろうか。僕の情報リテラシーが低いのかもしれないが、これならまとまりそうで政府案よりベターだね、という案が大手紙やネットメディアも含めて、提示されたのを見たことが無い。
 この問題の解決策は3パターンしか無い。

  1. 公約を破り、日米同盟を重視して沖縄に我慢して貰う。但し、我慢の代償は沖縄に払う
  2. 公約を守り、沖縄を重視した上で、幸運な事に代替地が見つかり、米軍もそれを受け入れる
  3. 公約を守り、沖縄を重視して代替地は見つからず、日米同盟で代償を払う

 今の論調では、2番を5月までに実現出来なそうなので批判を浴びている気がするが、これは公約作って自業自得とは言え、幸運であったら実現する選択肢である。本来議論すべきは、日米同盟か沖縄か、どちらで代償を払うべきか、という議論であって、自民党政権より沖縄を重視している鳩山政権を、日米同盟を重視して沖縄に継続した負担を求めるべき、という論調で批判するのは建設的だ。ただ、さすがに沖縄に対してそこまでポジションは取りきれないと見えて、その様な社説は見たことがない。また、発言の揺らぎを捉えて批判するなら、日米同盟より国内の民意を尊重して公約は守り、米軍を沖縄から追い出すべきだと、そもそも主張すべきだが、そんな主張は左翼からしか聞こえてこない。
 鳩山政権にも落ち度は沢山ある。無理な公約はその一つだし、交渉も拙い。ただ、メディアが幸運な選択肢を期待して、無益な批判を政権に繰り返すのは、政権の自由度を下げて、国益を害する。交渉というのは、自由度と、利益と脅迫両面での相手へのカードの大きさで決まる。記者やブロガーの諸氏も日頃仕事上の交渉に明け暮れていると思うが、揺らぐのもダメ、何としてでも5月迄に解決しろと国内基盤から縛られた交渉がいかに難しいかは理解できるのでは無いだろうか。こういった沖縄と日米同盟のトレードオフという事の本質にミートしない批判は、残念ながら米国と沖縄、及び代替地候補の交渉力を上げ、調整者である政権の交渉力を下げている。そもそも、米国にも沖縄にもカードを与えてしまったのは、普天間移転を公約した民主党が端緒で、この選択自体が大変愚かだと僕は思うが、この事態を前提に現実に解を探すなら、先送り体質の日本を見据え、あえて時限性を切った鳩山首相の意図を汲んで、彼の交渉力を上げるべく、無益な批判は慎み、建設的な議論を行って彼に選択肢を与えるのが国益に資する。
 で、議論はいいけど、僕はどっちのポジションなのかと。1番と3番なら、間違いなく1番が望ましい。7月の参院選民主党が勝って、憲法改正→自主軍隊保持という道が絶望的な以上、日米同盟と片端の自衛隊を前提に、中露と海を争わないといけない。従って、日米同盟は国の骨格を決める最重要課題であって、沖縄の人々には忍びないが鉄の忍耐を求め、その忍耐を日本全体が感謝すると、首相が肉声を発するべきだ。今のボコボコに批判されて追い込まれた状況では、残念ながらその道も閉ざされつつあるのが残念だ。メディアが先導してポジションを取り、その方策の合理性を主張して、政権に今は無いその選択肢を与えることは出来ないのだろうか。単なる一匿名ブロガーでも、こんなこと書くと沖縄の方から怒られるだろうな、と思う位なので、大手メディアだとますます難しいのはよく理解する。だが、書くことでもし政治がメディアが切り開いた選択肢の方向に動けば、仕事の冥利として最高なのではと僕は思う。翻って、無益な批判が満ちる今の状況は、日本では無い誰かが得している。それを指摘するのも一つのメディアの役割であろう。