投資におけるファイナンス

 半年以上追いかけた仕事が一段落し、ゴールデンウィークでサルの様に自分を解放していたら、その後腑抜けの様になって、パフォーマンスが低下すること著しく、30歳にしてああ、これが五月病ね、と今更ながらに理解した次第である。
 個人的な印象としては、プレッシャーと生産性というのはやはり正比例していて、少しワークロードが減ると、その分生産性も低下して、結局仕事にかけている時間はいつも余り変わらないという感じがする。こんな事を言っていると、「じゃ、よろしく」と仕事がふってきそうだが。とりあえず特殊な傘でも差して、仕事除けしておくとしよう。
 さて、本題に移るが、金曜日にファームの同僚向けにファイナンスに関する勉強会を行った。えらそうにコーチ役である。ファイナンスというのは、企業を買収する際にファンドから出資する株式だけでその資金を賄うとリターンが回らないので、出資と同時により低リスクで低コストな資金である銀行借入(シニアローン、いわゆるLBOデット)とメザニン(劣後ローン・優先株)を調達してくる事を言い、もちろんLBOであるからには必須の活動である。従って、2年位前から新しいメンバーが一定程度入る都度、自主的に勉強会を開いていたのだが、ここ1年位は忙しさも有って、さぼっていた。今回は久方ぶりだが、これを機に30ページにもなるトレーニング資料を作成して、ここ1-2年のファイナンスの最新の状況もアップデートしてみたのである。
 勉強会の方は、質問もあるいは僕以外のメンバーからのインプットも盛んに出て、なかなか盛況に終わった。バイアウトファンドに限らず、コンサルティングファーム投資銀行、ローファームなどプロフェッショナルな仕事は常にノウハウが個人に溜まりがちなので、これをファームに還元するというプロセスは意識して作らないと生まれない。特に社内が競争的な環境だと、個人のノウハウを出すことが自分のクビを絞める事につながりがちなので、その様な雰囲気になると、誰も何も教えないという状況にも成り得る。
今日の状況を見ていると、まだ当社はそんな状況でも無くて、積極的に自分のナレッジや経験を皆に還元していたので安心したが、これはバイアウトファンド自体がグロースインダストリーで、パイが増えているからという事も影響しているだろう。