前世紀ニッコール28-105D良い!

 先週末に丁度11年前、前世紀末にデビューした古いニコンのレンズを中古で買ったと書いたが、この週末、ぶらぶら歩くのに、昨年出たばっかりの最新式のデジタル一眼レフD90に、このAiAF Nikkor 28-105mm/F3.5-4.5Dという長い名前のレンズを付けて持ち歩いてみた。古いと言っても、ニコンは1959年から同じ形式、ニッコールという同じブランドを墨守してきたので、オールドニッコールと称するには、最低限70年代の"NEW"とかAiとか呼ばれる時代以前じゃないとまずい感じだから、歴史の長いニコンにおいては、比較的新参者のレンズなのかもしれない。今回その古いような新しいような11年前のレンズに、1年以内に発売された、これは間違いなく新しいカメラを組み合わせたのだが、その結果は大変良く、満足のいく写りだった。
 僕が気に入った一つの理由は、その焦点距離である。この古いレンズは、28-105mmという焦点距離に、F3.5-4.5というそこそこの明るさを持っているが、D90は、他の大多数の初級機・中級機と同様に、フィルムサイズの約半分のセンサーサイズの為、実際の焦点距離は42-158mmとなる。最近のレンズは、最も広角にすると、みなフィルム換算で20mm台になっているが、正直僕は、このエリアを余り使わず、無駄に思っていた。集合写真とかスナップを撮る事が多いコンパクトデジカメは、広い範囲を写せる24mmとか28mmとかがむしろあるべきだが、ポートレートとか、街の風景とか、ある程度被写体を大きく写して、後ろはボカしたい一眼レフでは、あんまり広角だと被写体が小さくなって、その印象が薄くなってしまうので、僕はむしろ40mmから130mm位を使いたいし、実際多用している。
Sightline
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @75mm]
 これとかは、そのよく使うレンジのど真ん中である換算75mmで撮った。70とか80位が一番使っている焦点距離の気がする。フレーミングに気を遣う焦点距離だが、マネキンは動かないから、その点実に楽だ。しかも、もともとお金を掛けてプロがライティングしているので、そのアイディアも拝借できる。マネキンばっかり撮ってるプロの写真家もいて、これは一つの小さいジャンルでもあるのだが、実際撮ってみると、実にその造型は良く出来ていると思う。丸の内仲通にて。
Plant in jail
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @42mm]
 また、めいっぱい広角に振れば、42mmでこれ位は広く撮れるので、実用上も問題ない。旅行とかに持っていくなら、風景写真が多くなるから、換算20mm位を撮れる、超広角レンズを加えたくなるが、都会をパチリと撮るだけなら、そんなに広く雄大な風景なんて、そうは都会に転がっていないのだ。こんな街に引きこもっていると、視点の広さも中望遠レンズ並みに狭くなりそうである。
Spring trumpet
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @157mm]
 このレンズの一つの良さは、簡易マクロモードが付いていて、めっちゃ被写体に寄れるところだ。しかも、円形絞りでボケも自然である。D700によく付けている24-85mm F2.8-4Dというレンズがあり、こちらも簡易マクロモードがあるが、28-105/F3.5-4.5Dの方がボケは綺麗だと思う。これだけ寄れて、ボケれば、わざわざ重いマクロレンズを持ち歩く必要も無い。
Wall against night
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @57mm]
 この28-105/F3.5-4.5Dは、僕も持っているF100というフィルムカメラと同時発売だったが、F100では絶対無理だったのだが、こういった夜間の手持ち撮影である。デジタルになって、特にニコンのカメラは高感度でも画質が相対的に低下しないから、夜は積極的に感度を上げて、手持ちでも結構なクオリティの写真が撮れる。これはISO800だから、フィルムでも不可能では無いだろうけど。ちなみに、この緑色は、そう、山手線が映っている。僕的には、これは鉄道写真を撮ったつもりである。
Coil up
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @135mm]
 多様なレンズとカメラの組み合わせがあるのが一眼レフの世界だが、その多様性ゆえに、組み合わせによってはオートフォーカスがうまく作動しなかったりするのが泣き所の一つである。古いレンズに新しいボディだったので、若干不安があったが、少なくとも見ての通り至近距離はバチピンである。純正同士の組み合わせは10年の時を挟んでも安心感がある。この時、何食ったか記憶はおぼろげだが、大阪発祥のチリトリ鍋を食べた時だった気もする。
SATC
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @127mm]
 夜を露出オーバー気味に撮ると、昼なのか夜なのか、判然としない面白い感じになる。街の風景において、夜を規定するのは明るさじゃなくて、街灯なんだと思う。これは相当遠くから狙ったが、レンズの焦点距離が望遠よりなので、こういうのも撮りやすい。
hidden colour
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @157mm]
 外は自然光なんだけれども、前の写真とは逆に露出落とすと、午後の光はこんなにも青いことが判る。見えていないものが見える時があるのが写真の面白さの一つだ。不気味な洋館の様だが、本当は大変明るいカフェの中である。こんな古い自転車がオブジェとして置かれている様な"オサレ系"な空間だったのだが。
Stretch
[NIKON D90 /AiAF Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D @52mm]
 はてさて、一つの古いレンズだけで随分楽しめた休日だった。42-158mmという焦点距離は、僕にはしっくり来て、全く過不足を感じなかった。コンパクト機で、SIGMA DP2というのが今度出ると、エントリで書いたこともあるが、このカメラは焦点距離が41mmの単焦点で、同じ画質重視の単焦点コンパクト機でも、RICOH GR-D2の超広角24mmとかと比べると僕にはどんぴしゃりだと思う。ちょっと危険な買い物の香りがしてきた。
 また、このレンズは、設計が古いので、今風の花形をしたフードじゃなくて、こういうラッパみたいな巨大なフードになる。レンズを中古で買った時、フードは付いていなかったので、別途新品を注文したが、随分前にディスコンになっている商品の消耗品じゃない付属品が普通に売られているのは、電化製品ではなかなか考えにくいことである。このラッパフードは、でかくて不便ではあるが、見た目のクラシックさが面白いので、僕は気に入っている。旅行にこれ付けて持っていくかと問われると微妙だが。
OLD Lense and New Camera
[NIKON D700 /AiAF Nikkor 24-85mm F2.8-4D]