堂島ホテル

 大阪出張が入って、堂島に泊まった。堂島ホテルである。僕が大阪にいた頃は、インターナショナル堂島ホテルという名前だった。よく言えばNYのクラシックなホテルの様な、悪く言えばバブルそのものの外観で、そこそこ高かったが、その金額払うなら、ホテル阪急インターナショナルもリッツも大阪には有り、大阪時代に使ったことは無い。それがアンビエント堂島ホテルとなり、また名前がいつしか堂島ホテルに戻っている。


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 数ある大阪のホテルでなぜここを選んだかと言うと、単に行ったこと無いホテルに行きたかっただけである。ただ、よくよく考えてみると、もともとのインターナショナル堂島ホテルは、足利銀行が破綻前に貸し込んだ在日系の企業の運営だった。足利銀行は、同業の野村プリンシパルインベストメントのもとでこの前再生のスタートを切っているから、このホテルはファンド繋がりと言えなくも無い。少し前まで、足利銀行北朝鮮に直接送金が出来る唯一の銀行として知られていたが、この足利銀行がこの在日系の企業に貸し込んだカネの内、実に約100億円が闇に消えている。後にこの企業が破産して、管財人の弁護士が100億円の行方を追及した所、元トップが「このカネの行方をこれ以上追求すると、先生も私もこの世から消えることになる」と答えたのはその筋では有名な話だ。この元トップは将軍様から沢山の勲章を頂いた人物ということもあって、もちろん、カネは北に流れたというのが通説だ。足利銀行は銀行がバタバタ倒れた90年代後半ではなくて、バブル崩壊後13年を経た2003年に金融庁検査で債務超過に追い込まれて破綻した。時期的に、その前年である2002年に小泉首相が訪朝して、拉致事件が公になった直後であることは留意しておきたい。
 その後、ホテルはアンビエントという名前通り、セラヴィリゾート泉郷の手に渡るが、セラヴィは名古屋港イタリア村の失敗が祟ってこの5月に倒産している。
 そんな、以前書いた川奈ホテルの様にオーナーに恵まれず、転々としたこのホテルだが、今はシンワオックスという食肉卸・外食の会社が運営母体で落ち着いた様だ。大阪のシンワで思い出す人がいるだろうが、ハンナンと組んで牛肉偽装不正受給事件を首謀し、社長が実刑をくらった、あのシンワがシンワオックスの母体である。この事件あたりが端緒になって、名産のお菓子から吉兆、鰻まで続々と連なる産地偽装が明らかになったり、大阪の同和利権の是正が進んだかと思うと、なかなか感慨深いものがある。


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 そういう闇に近い話がままあるホテルではあるが、泊まる身としては、オーナーが誰かは関係ない。リッツのオーナーが阪神電鉄であることを気にする人はいないだろう。豪奢なエントランスを経てチェックインすると、お部屋はなんとガラス張りのシャワールーム付きであった。一人でこんなとこ泊まるもんではない。普通の部屋をトラベルサイトで予約していたら、空いていたのか、デラックスツインにアップグレードしてくれたのだ。こんな部屋に一人で泊まらせて、もんもんとさせて次はカップルで来させよう、というそういう戦略なのだろうか。もんもんと寝ることにしよう。
 ホテルの話はこんなとこで、ホテルを出てみると、堂島は北新地とほど近い。北新地はキャバも一杯あるが、雰囲気は東京の銀座みたいな所で、いい食事処も点在している。夏の関西ということで「つるのおんがえし」という店でハモしゃぶを食べてみた。ハモの骨のお出汁が旨い。東京には無い味である。つるりと食べられて、なにか元気が出た。ここんとこ、体に関西成分がどうやら足りなかった様である。

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