CORPORATE PREFECTURES OF JAPAN MAP

ちょっと前に話題になってたこれ。


■出典:Steve Lovelace "CORPORATE STATES OF AMERICA MAP"

ふむ。と思って週末しこしこと日本版作ってみた。その県で起業された会社によるコンスーマーブランドの例。その県出身者が起こした企業もどうかと思ったが、静岡(トヨタ・ホンダ・ヤマハ・スズキ・・)と群馬(渋沢栄一の愉快な末裔たち)と近江商人伊勢商人辺りが無双してしまうので、こっちで。

corporate prefecture of Japan map

大変だったのは、1024*768とかキャンバスの大きさを決めると四角いアメリカはほぼ空間を埋め尽くして、効率的にスペースを使えるのに対し、日本は細長くて左上と右下にスペースができ、一県一県が小さくなってしまう事。そんで、少し思ったのはこんな事。

  • 東京から愛知までのソニー・日産・ホンダ・トヨタの四連発は言うに及ばず、ここに入っていない企業も含めて、これまで日本を支えてきた自動車や電機等の輸出企業は東京−大阪間で生まれている
  • 一方で、ユニクロ味千ラーメンみたいなクールジャパン()の模範に無理やりされている様な企業、或いはイオンやヤマダ電機みたいなグローバル展開を始めた小売は、地方起源がマジョリティな位。たぶん、食いもんとか着るもんとか、それ程専門性が高くない小売とかは、地方じゃないとクルマ社会を前提としたフォーマットが確立できない一方、確立できたらアジア中、或いは世界中に成立可能な立地があるという事だろうか。むしろ東京みたいな都会は世界的には極めて特殊なんだろう。東京で通用しようとすると、高い地価をクリアしないといけないので、超高回転か高単価にならざるを得ない
  • 東北と山陰は企業見つけるのに大変苦労した。宮城ですらアイリスオーヤマ無かったら、どうなるだろう。青森りんごとか、二十世紀梨とか、南部鉄器とか、それなりの素材はあるのに、企業というスケーラブルな商売にはなっていない
  • 米国企業はコーポレートカラーがはっきりしてる場合が多いけど、日本企業ははっきりしておらず、白地にロゴが多く、かつロゴは赤が多い。ユニクロは明らかに意識してると思うけど、他の企業も無意識にか社のロゴに日本国旗の構造を背負ってる。結果、すごく各企業同士が判別しにくい
  • 米国の西海岸にあるスタバ、ナイキ、アップルみたいな単純なロゴ一つで企業が表現できる企業は日本には極めて少ない。英語は表音文字で社名が長くなるからこそ、アイコン化を考えたのかもしれない
  • 納豆の起源が水戸でなく秋田な事を知りますた

それで、2つめと3つめの点を敷衍してみたい。ここんとこ、地方は工場の誘致という時代でも無いので、一次産品の輸出に活路を見出している話を聞く。それはそれで素晴らしいけれど、この特産物を一次産品として売るだけでなく、一ひねりして加工度を上げ、外食産業や食品産業に仕上げれば、付加価値が上がって雇用創出力も増えるし、よりスケーラブルになるんじゃないかな。

では、どうやって産業にするかだけど、ゲームの天下統一みたいに、県内の豪族が自然に糾合して県を代表する大勢力になっていくイメージは外食には当てはまらない。はなまるうどんが大きく花開いたのがオリジンの香川で無いように、多分その外食産業を仕上げるのは、ご当地の県じゃなく、違う所なんだと思う。宮崎でチキン南蛮と冷汁のチェーン作ろうとしても、もっと旨い店は山ほどあるし、食べ慣れてるから好みも分散して、大勢力にならなそう。だから、むしろチャンスは宮崎料理がレアな所では無かろうか。そしてそれは特殊な大都市の東京や大阪じゃなくて、まずロードサイド。ロードサイドで戦えるオペレーションが確立できれば、東京大阪以外の日本全国及びアジア都市圏全域が市場になる。だから、自治体は県内外食の他県進出支援をするのが面白いんじゃなかろうか。

外食は飽和と言われつつも、焼き牛丼だけで急速にチェーンが成立する世界だから、依然としてネタは豊富にある筈。5年後に伊那のローメンでロードサイド100店出すチェーンが忽然と出現しても不思議じゃない。ただことローメンに限っては、まず美味しくないという食品としての根本的な欠陥を何とかする必要があるが・・。(焼き牛丼は、肉は煮るより焼く方が旨いという事を再認識させてくれたからね)

最後に、ちょっと脱線するけど、花屋のニコライ・バーグマンが、外国人が日本に長く居過ぎたと思う瞬間として、「白の反対が黒でなく赤だと思った時」というのを挙げていたが、やっぱり日本人は白地に赤が好きなようだ。コーポレートロゴを作る時、差別性を得るなら白地じゃなくて、きっちりとコーポレートカラーを決めて、それを背景にするのが吉だと思われる。