金融

ソフトバンクの財務戦略

ソフトバンクモバイルが、やっとデータ定額を導入するというニュースが4日に出た。面白いことに、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)として、ライバルであるイー・モバイルのデータ通信網を利用して提供するらしい。ディズニー…

政府紙幣=ヘリコプター・マネー

政府紙幣という言葉が市民権を得つつある。要は、日銀では無く、政府が発行する紙幣で、日銀券との交換を保証するものである。なぜ日銀券を直接発行しないのかと言えば、日銀は自らの負債たる円を刷ろうとすれば、その分資産サイドに国債を積むことになるが…

駒大の運用失敗

久しぶりにデリバティブで大損した人を見た。しかも投資家は大学である。 ○駒沢大が154億円損失 金融危機で資産運用に失敗 駒沢大(東京都世田谷区)が資産運用を目的としたデリバティブ(金融派生商品)取引に失敗し、約154億円の損失を出していたこ…

Panasonicによる三洋電機買収

パナソニックが、三洋電機を買収する方針を正式に発表し、今後三洋のデューディリジェンスに入る様だ。ただ、GSやSMBCなどの大株主との間の株式買取協議はこれからの様である。 バイアウトの常識からすると、奇妙なプロセスである。株主が分散した普通の上場…

ハイマン・ミンスキーとバブルのコントロール

ここんとこ金融の世界で、大いに見直されているというか、初めて注目を集めているのが、ハイマン・ミンスキーという既に故人となった経済学者である。通常、景気のサイクルというのは、需要と供給のバランスによって説明され、在庫調整を中心に景気循環サイ…

ワコビア・ウェルズ=ファーゴ・シティ

NY地裁がワコビア買収に係るシティの独占交渉権を認めたというニュースの一方で、控訴裁判所が翌日それを却下したという小さなニュースが流れ、この買収は混迷を深めている。 誰が見てもこの買収は、シティの提案よりウェルズ=ファーゴの提案の方が中身が良…

Too big to bail out

Wachoviaとは、日本人にはワチョヴィアにしか読めないが、ワコービア(ヤ)と読み、ノースキャロライナ州の地名である。18世紀後半にモラヴィア人がノースキャロライナに入植した際に、この土地が、オーストリアのWachau valleyに似ている事から、そう名付けた…

不良債権買取の仕組み

昨日に引き続いての金融ネタである、米国政府が用意した75兆円の公的資金による不良債権買取枠だが、その後のニュースを見ると、ほぼ同種の債権について政府が買入入札を行い、安い順に政府が買っていくという仕組みらしい。つまり、「サブプライムローンを…

流動性の大底と株の大底

米国は公的資金の投入に動き、そろそろ金融危機の最初の大底は見えてきたように感じている。何でも10年前の日本に例えるのは正しくないとは思うが、幾つか重要な示唆はある。93年にやばくなったコスモ証券は、大和銀行に救済されたが、97年にクレジットクラ…

長銀判決と最高裁の良心

いささか旧聞に属するが、7月19日に旧長銀の大野木元頭取に対する刑事責任について、最高裁判決があり、地裁・高裁の判断を覆して、無罪となった。元頭取は、長銀を破綻に追いやった特別背任罪に問われていたかと思いきやさにあらず、罪は 関連ノンバンクの…

ファニーメイ、フレディマック救済のインパクト

朝方からGSE - Government Sponsored Enterprisesの2社、ファニーメイとフレディマックを米国政府が公的資金で救済する話でもちきりだった。両方とも90兆円のアセットを持つ、巨大住宅金融公庫であるから、合計180兆円の金融機関が売り込まれて信用不安とい…

堂島ホテル

大阪出張が入って、堂島に泊まった。堂島ホテルである。僕が大阪にいた頃は、インターナショナル堂島ホテルという名前だった。よく言えばNYのクラシックなホテルの様な、悪く言えばバブルそのものの外観で、そこそこ高かったが、その金額払うなら、ホテル阪…

レイオフ相次ぐ

ここんとこ投資銀行でレイオフの話が相次いでいる。とある所ではIBDのエグゼキューションチームの中でVP以上が3人しか残らなかったとか、また別の所では、クレジットのプロップデスクがチームごと消えたとか、暗くなる話ばかりである。バイアウトファンドは…

橋下知事は「藩政立て直し」先駆者となるか?

何事であっても、その道のプロフェッショナルのディリジェンスと能力を信じる自分としては、門外漢の最たる芸能人知事には原則否定的である。宮崎の東国原知事については、雰囲気が良くなったのは認めるものの、果たしてあのセールスマン活動が、どこまで個…

ベアー・スターンズと梶山静六

米ベアー・スターンズの処理スキームが決まった様である。簿価譲渡かどうかは定かでは無いが、時価算定が困難な会計上レベル3と思われる仕組みものアセットを切り出し、JPモルガンが10億ドル出資し、公的機関がローンを出す別会社が、集めたカネでアセットを…

或る債権投資ファンドの死

カーライルグループの住宅ローン投資ビークルと説明されているカーライルキャピタルが金融機関から担保実行され、実質的に破綻したようだ。たぶん、であるが、構造はこういう事であろう。 カーライルキャピタルは、投資家から資金を集めて、それに金融機関か…

財政健全化と国民の生活

僕は法学部出身であって、その後金融業に携わりはしたが、決して経済学をきちんと学んだ訳では無い事は、あらかじめ前置いた上で本稿を読んで頂きたい。前日のBlogに、「将来の税負担の大きさを示す都の債務12兆円」と書いたが、国の借金の本質は、という話…

新銀行東京

新銀行東京が大騒ぎになってきた。 主なネタは、 1,000億出資して、累損が1,026億に 400億の追加出資負担と減資して繰損一掃した場合は更に637億の負担 経営陣への刑事・民事の責任を問う てなとこである。 新銀行東京 「旧経営陣責任重大」 東京都が100…

ヘッジファンドとレバレッジと銀行(1)

サブプライム問題が日本の各種メディアにも漸く載るようになってきた。今日の日経夕刊も、Moody'sやS&PがRMBSを格下げしている事を伝えている。ただ、この問題の本質が何かという事は意外に解説されていないのでは無かろうか。 問題は、元本の毀損と流動性の…

株券と等価とは

結構画期的と言うべきか、多分そうだろうなと思われていたことが正式に認められたに過ぎないのか、何はともあれ、ブルドックソースの特定株主にある種差別的な買収防衛策に対する、スティールパートナーズの差止請求は地裁却下になった模様である。 スティー…

アジアのマネーセンターは香港である

これは、先週書いた話の続きである。○6/15 リスクマネー 東京市場の地盤沈下が叫ばれて久しい。しかし、それでも東京証券取引所の時価総額は、NYSEには遠く及ばないものの、ロンドンやNASDAQとはいい勝負であり、東京外為市場も何とか3位の座を確保している…

リスクマネー

忙しい忙しいと前のエントリに書いたら、仕事繋がりの方から友人、或いは一族郎党まで心配されてしまった。一体何が忙しいのかとよく聞かれて、それを正確に説明しようとすると、そもそもバイアウトとはから話を始めねばならず、仕方が無いので、「要は」と…

東証記者会見

今日の日経の4面に日興上場廃止に関する東証の西室社長の記者会見が一問一答で載っていたが、これが極めて面白い。是非ご一読をお勧めしたい。30%くらいの質問は記者と東証でなんとか互角、他は東証の貫録勝ちという回答で、一つも東証側が答えに詰まる様な…

上場維持とアンチ外資政策

全くもって驚いた。さすがに僕は背後の規制当局による「シティTOB潰し」の意図を感じざるを得ない。これについては後述する。 日興コーディアル株の上場維持、東証が発表 不正会計問題のあった日興コーディアルグループ株について、東京証券取引所は12日夕…

REITを買収してしまおう。

2月12日付の日経公社債情報に米系の投資ファンドが一部のREITの株を大量保有している件が掲載されていた。この米系投資ファンドが保有しているREITの中には、PBRが1倍を割っている銘柄もある。この所の不動産価格の上昇を考えれば、修正NAV(Net Asset Value)…

投資立国

僕は所謂外資系ファンドで働いている訳では無いが、僕が働いている日本国における投資の分野で右翼から左翼まで、共通して喧伝して、何だかなーと思うのが、外資ファンドへの課税強化である。古くは新生銀行の上場益を課税できないという話から、最近では外…

東証に告ぐ。(1)

NASDAQがロンドン証取に対して敵対的Takeover Bidを始めたというニュースが入った。世界の証券取引所では、NYSE+ユーロネクストがズバ抜けた規模を誇るものの、NASDAQ・ロンドン証取・東証が団子状態で2位争いをしている。仮に、このTakeover Bidが成立すれ…

財務レバレッジ・アゲイン

今日、大手投資銀行主催のセミナーに行った。内容は、負債と資本の境目にあるメザニンとかハイブリッド証券と呼ばれる分野についてである。中身自体は極めて興味深かったのだが、最も印象的だったのは、「この分野は、資金調達では無くて、資本調達と考えて…

グラミン銀行にノーベル平和賞

バングラディシュのグラミン銀行の創始者にノーベル平和賞が授与された。グラミン銀行というのは、ちょこっとNGO/NPO関係とか開発経済学とかを勉強して、国際協力銀行やJICA、或いは外務省を目指す(した事のある)人には極めてメジャーな存在で、要はバング…

不動産ブームはいつまで続くか

誰が見ても不動産はバブっている。僕が住む麻布十番も然り。この前更新だと言うので、不動産の更新だけはしてくれるなという家訓を持つ僕は、あちらこちらを見て回ったのだが、今住んでいるマンションより、狭くて古くて5万円高いとか、そんなのばっかりで、…